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サッカー日本代表のDFリーダーへ 町田浩樹がベルギーで得た成功体験と面構えの変化 (2ページ目)

  • 中田 徹●取材・文 text by Nakata Toru

【ベルギーリーグ屈指の3バックを構築】

 実は、今季の町田はシーズン途中でコンディションを落としたり、時に負傷したりもしていた。本人も「今季のパフォーマンスは悪かった」と振り返っていたほど。ベルギーメディアは「今季の町田は12月までに(日本代表も含めて)35試合もプレーし、すり減っている。疲労の色は濃い」と指摘していた。

 昨年12月はアントワープ戦で、今年1月はブラガ戦で、彼が退場処分を受けたのも偶然ではないだろう。日本で「町田が21歳の新鋭CBフェデ・レイセンにポジションを奪われる」と報道されたのも、この頃だった。

 復調のきっかけをつかんだのは2月、アヤックスとのELプレーオフ第2レグ。ホームでの初戦を0-2で落としたユニオンは、敵地ヨハン・クライフ・アレーナで立ち上がりから攻勢に出て、あっという間に2-0のリードを奪って2試合合計をタイに持ち込んだ。

 この試合は結局、延長戦で虎の子の1点をもぎ取ったアヤックスがベスト16進出を決めた。しかし、深夜のミックスゾーンで町田が開口一番「死闘でした」と切り出したほど、両チームともすべてを出し尽くした大熱戦だった。

 この試合で町田は、アヤックスの攻撃を防ぐだけでなく、得意の前線への突き刺すようなパスを通して復活をアピール。仲間から「リアル・コーキ・イズ・バック(町田浩樹が完全復活した)」と称えられたという。

 3月10日のスタンダール戦で足首を痛めた町田は、同月の日本代表シリーズを欠場することになった。しかし、シーズン序盤で宣言したおとり、プレーオフに向けてコンディションを仕上げていった。

 プレーオフの10試合中9試合に出場し、ケビン・マック・アリスター、クリスチャン・バージェスと鉄壁の3バックを築いて活躍。「町田は相手よりひと回りどころか、ふた回りも上回る守備を披露した」「オランダ語の辞書で『secuur(安全な)』という単語を引くと、町田の写真が参考に添えてある」などと、毎試合で高い評価を受けた。

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