三笘薫、遠藤航、鎌田大地...プレミアリーグで奮闘した日本人選手の現地での評価は? (2ページ目)
【優勝を勝ち取った英雄】
遠藤航(リバプール)
2024-25シーズン評:7(10点満点)
プレミアリーグの優勝トロフィーを遠藤航が掲げると、リバプールの本拠地アンフィールドのコップたちはひときわ大きな声援を送った。このクラブのサポーターは伝統的にカルトヒーローを好む。日本代表の主将はマージーサイドでの2年間、その役割を担っている。
彼のプロフェッショナリズムを疑うものは、ひとりとしていない。完璧な準備をして辛抱強く出番を待ち続け、今季は中盤だけでなく、最終ラインでもその守備能力を披露した。背番号3をまとった頼れるクローザーが投入されると、チームには安心感が広がる。実際、彼が出ている間にゴールを破られたのは4月13日のウェストハム戦が初めてだった。
集中を切らさず、汗かき役を全うする遠藤は、レッズの20度目のリーグ優勝――マンチェスター・ユナイテッドに並ぶ最多タイ記録――に、しっかりと貢献している。日本人選手としては、5人目の快挙だ。
「今季、ワタがいてくれて本当に助かった」とアルネ・スロット監督は話した。
「出場した時間よりも、そこで何をするのかが重要になる。2分だけ出て見事な働きをする選手もいれば、90分出てもチームに寄与できない選手もいる。ワタが特別なのは、出番が何分であろうと、信頼に足るプレーを約束してくれることだ」
おそらく来季、遠藤はリバプールにはいなさそうだ。しかしチームの主将フィルジル・ファン・ダイクはこんな正直な言葉を日本代表のキャプテンに寄せている。
「チームを築き上げていくためには、リーダーが必要になる。ワタはそのひとりだ。できることなら、彼にあと1、2年くらいはここにいてもらいたいのだが」
鎌田大地(クリスタル・パレス)
2024-25シーズン評:6(10点満点)
スロースターターから、英雄へ――。オリバー・グラスナー監督お墨付きのMFも、初挑戦のプレミアリーグには適応に時間を要した。当初は多くのサポーターを納得させられなかったが、終わってみれば、FAカップ獲得――1905年に創設された南ロンドンを本拠とするクラブの長い歴史で初のメジャートロフィーだ――の獲得に大きく貢献したのだ。
序盤には11節フラム戦の危険なファウルによるレッドカードなど、ネガティブな印象も残したが、少しずつリズムを掴んでいくと終盤戦には、4月のブライトンとのリーグ戦やアストン・ビラとのFAカップ準決勝、そして5月のマンチェスター・シティに競り勝ったFAカップ決勝で、重要な白星の獲得に貢献。試合唯一の得点シーンでは中盤で巧みにボールを繋いだ。エベレチ・エゼやジャン=フィリップ・マテタを絶妙にサポートした教え子について、恩師グラスナーは言う。
「エベレチらアタッカーの個人技も、カマダのリンクアップがあってこそ輝きを増す。かけがえのない選手だ」
ただし鎌田自身は、「自分のキャリアで一番難しいシーズンでした」と自身のSNSにあげているように終わりよければすべてよし、とは感じていないようだ。それでも、グラスナー監督とのコンビで、ヨーロッパリーグに次ぐふたつ目のメジャートロフィーを獲得した事実は揺るがない。
歴史の一部となり、さらに自信を深めた鎌田の2年目も楽しみだ。
2 / 3