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久保建英の今季のプレーについて、地元記者「10点満点で6.5点」気になる来季は「残留の可能性が高い」 (3ページ目)

  • ウナイ・バルベルデ・リコン●取材・文 text by Unai Valverde Ricón

【チームに残留する可能性は高い】

 シーズンが終わり、去就について考える時期がやって来たが、久保のラ・レアルでの将来はいまだ不透明だ。その大きな理由は、来季は欧州カップ戦に出場できず、チームのプロジェクトに大幅な変更があること、そして彼自身が移籍に関して扉を開けたままにしているからだ。

 久保はアスレティック・ビルバオとのバスクダービー後、チームのプレーに苦言を呈し、将来についてあらゆる可能性を残す発言をした。

「試合を支配し、チャンスを次から次へと作っていたレアル・ソシエダを少し恋しく思っている。最近はそれができていないし、相手に簡単に読まれないように改善する必要がある。退任する監督のように、この先何が起こるかはわからないけど、今のところ僕には契約があり、ラ・レアルでプレーを続けることを考えているし、チームがよりよくなることを望んでいる」

 これは基本的に残留を示唆する発言と受け取れるが、「この先何が起こるかはわからない」という言葉をつけ足しているのは、サイクルの変化による不確実性、チームとしてのステータスが低下していること、そして毎年夏になると久保を移籍させようと動いている代理人に届く数多くのオファーが起因している。

 移籍情報に精通しているファブリツィオ・ロマーノ氏によると、久保は代理人を変更しようとしているとのことだ。通常であれば、これは本人が環境の変化を求めていることを意味するが、彼が本当に退団したいと思っているという確証はない。また、久保はラ・レアルとの契約を昨年2月に2029年まで延長したばかりで、クラブに大いに求められている。

 プレミアリーグには以前から久保に興味を持っているクラブがいくつかあるが、ラ・レアルはどことも交渉するつもりはない。その理由は、久保獲得の際に生じた、彼を将来、他のクラブに売却した場合、キャピタルゲイン(購入価格と売却価格の差による収益)の50%をレアル・マドリードに支払わなければならないためだ。これにより、獲得を希望するクラブが契約解除金に設定されている6000万ユーロ(約96億円)を支払い、久保が退団の意思を示した場合のみ移籍が成立する。

 私見ではあるが、成績が振るわず、大きな結果を残せなかったシーズンを過ごした彼に対し、それだけの大金を支払うリスクを冒すのはどのクラブにとっても難しいことなので、残留の可能性が高いと思っている。

 この夏、ラ・レアルを去る可能性のある選手は他にもいて、そのうちの何人かは久保よりもはるかに可能性が高いか、すでに決定している。現時点で明らかなのは、コーチングスタッフの大部分(監督、アシスタントコーチ、ドクター、栄養士)が去り、ナイフ・アゲルドが期限付き移籍を終えてウェストハムに戻ることだ。

 ラ・レアルがスビメンディをアーセナルに 6000 万ユーロ(約96億円)で売却するという話があるが、それはまだ非公式である。さらに、レミロ、アルバロ・オドリオソラ、ブライス・メンデス、シェラルド・ベッカー、ジョン・アンデル・オラサガスティにも退団の可能性があり、来季はチームが刷新されることになるだろう。

(髙橋智行●翻訳 translation by Takahashi Tomoyuki)

著者プロフィール

  • 高橋智行

    高橋智行 (たかはし・ともゆき)

    茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、リーガ・エスパニョーラを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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