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久保建英の今季のプレーについて、地元記者「10点満点で6.5点」気になる来季は「残留の可能性が高い」 (2ページ目)

  • ウナイ・バルベルデ・リコン●取材・文 text by Unai Valverde Ricón

【もの足りなかったのは攻撃面の数字】

 今季は、タフで厳しいリーグ戦やヨーロッパリーグ、国王杯を並行して戦い、6年ぶりに欧州カップ戦の出場権を逃したラ・レアル。選手たちにとっても、決して楽な1年ではなかった。

 久保はそんな状況ながらも記録的な数字を残している。多くのファウルを受けたが一度もケガをせず、常にプレーできる状態を保っていた。これによりイマノル・アルグアシル監督が継続的にローテーションを行なったにもかかわらず、スペインでのキャリア最多出場のシーズンとなったのだ。

 公式戦52試合(先発40試合)出場は、ミケル・オヤルサバルに次ぐチーム2番目。出場時間はアレックス・レミロ、マルティン・スビメンディに次ぐ、チームで3番目に長い3500分だった。

 また、52試合というのは1シーズンの公式戦出場数でクラブ史上5番目に多く、ラ・レアルの歴史に名を残した。これにより彼は、ラ・レアルでのわずか3シーズンですでに、公式戦137試合、ラ・リーガ101試合出場を果たしている。

 さらに久保のよかった点を挙げるとすれば、カウンターやゴール前を固められた状況下で、相手の守備陣を突破できる唯一の選手だったことだろう。特に有利な状況でボールを受けた時、対峙した多くの左サイドバックにとって悪夢のような存在となった。

 技術の高さとスピードを生かし、シーズンを通じて低調で退屈なラ・レアルの攻撃で違いを作っていた。

 また、久保にはいくつか改善点が見られた。それはドリブルの範囲が広くなったことだ。シュートを狙い、ダブルマークを振りきるために中に入るだけでなく、頻繁に縦に仕掛けてクロスも上げていた。

 さらに、以前に比べて走りながらボールを受けるシーンが多く見られるようになった。立ち止まった状態でボールをもらうと前に行くのが難しいが、走りながらボールをもらうことで前に行きやすくなっていた。

 一方、今季はゴールを決めるのには苦しんだ。最後のゴールは2月23日のレガネス戦。それ以降の3カ月間、無得点のままシーズンを終えた。公式戦で7得点(ラ・リーガ5得点)、4アシストを記録したが、不思議なことにラ・リーガでは最後までアシストがつかなかったのだ。

 このことを踏まえ、来季に向けて久保が改善すべき主な点は、「攻撃面の数字」だろう。これに関しては久保自身も常々言っており、イマノルからも求められていたように、もっとゴールを生み出す選手になる必要がある。プレーのクオリティーやチームでの彼のステータスと比較した場合、攻撃面の数字は見劣りしている。これを向上させるためには、シュートやラストパスの精度を高め、難しい局面でもっと利他的にプレーしなければならない。

 今季の久保を10点満点で評価するとしたら6.5点だろう。チームの全般的なパフォーマンスの悪さが全員の評価を下げており、6点を超える選手はほとんどいない。攻撃の旗振り役として低調なチームのなかで異彩を放ち、ほぼ不可能なことを可能にするための責任を負って試合に臨んだため、他の選手よりも高く評価した。

 それでも6.5点止まりとしたのは、得点面の物足りなさと、重要な働きができない試合がたくさんあったからだ。その多くはチーム全体の責任であったが、彼自身のプレーや判断ミスによるものもあった。

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