クロード・マケレレの守備は唯一無二 レアル離脱にジダンも「なぜ手放すのか理解できない」と嘆いた (3ページ目)
【マケレレに粋なプレゼント】
2003年夏、マケレレはチェルシーに新天地を求め、翌年には名将ジョゼ・モウリーニョが着任した。前線にディディエ・ドログバ、中盤にはフランク・ランパード、DFにもジョン・テリー、GKペトル・チェフなど、要所に超一流を揃える強豪だ。
モウリーニョ監督は常に守りのバランスを重視していた。レアル・マドリードに比べると、マケレレにとっては好ましい環境だ。
相手ボールになった瞬間、ドログバとエイドゥル・グジョンセンの前線はボールホルダーを追いかけ、少なくともパスコースを限定する。ボックス・トゥ・ボックスの運動量を武器としていたランパードが身体を張り、ダミアン・ダフ、ジョー・コール、アリエン・ロッベンは守備時の1対1こそ弱かったものの、最終ラインに多大な負担をかけるようなマネはしなかった。
モウリーニョ監督が築いた堅守チェルシーのなかでも、アンカーに位置したマケレレは際立っていた。失点に直結したり、最終ラインが混乱をきたしたりするようなイージーミスは一度も犯していない。
「コーチングする前に、クロードがスペースを埋めている」(チェフ)
「前につり出されても、クロードが必ずカバーしてくれるから、思いきって勝負できる」(テリー)
当時の資料を紐解くと、チーム内の絶対的な信頼がうかがい知れる。
だからこそモウリーニョ監督は、粋なプレゼントでマケレレの労をねぎらったのだろう。37節のチャールトン・アスレティック戦で、すでに優勝を決めていたチェルシーはPKのチャンスを得た。通常はドログバ、もしくはランパードがキッカーだ。しかし、モウリーニョ監督はマケレレを指名する。
小さなビッグヒーローのキックは相手GKに一旦は阻まれたものの、リバウンドを彼本人が丁寧に決めた。ドログバとランパードが祝福する。モウリーニョ監督とコーチングスタッフも、穏やかな笑顔を浮かべている。チェルシーサポーターの脳裏に焼きついているシーンではないだろうか。
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