検索

アリエン・ロッベンのドリブルはわかっていても止められなかった「隙のないDFなんて、この世にはいない」 (4ページ目)

  • 粕谷秀樹●取材・文 text by Kasuya Hideki

【ロッベンの後継者はいつ現れる?】

 キャリアを通じ、ロッベンは負傷に悩まされた。緩急の変化を持ち味とする選手の宿命で、ハムストリング、ひざ、足首に慢性的な痛みを抱えていた。2016-17シーズンの13得点を最後に、5得点、4得点......バイエルンでの晩年は、サポーターの期待に応えたとは言いがたい。

 ただ、出場すればワールドクラスのカットインを披露し、「さすがロッベン」と周囲をうならせたこともあった。

「相手がカットインを予想しているのは、雰囲気でわかる。それなら、俺が上回ればいいだけの話だろ? 隙のないDFなんて、この世にはいないさ」

 わかっていても止められないドリブル突破は、ロッベンの自由で強気な発想にもとづくものでもあった。

 得点力に秀でたウイングは、近代フットボールの最重要ポジションと言っても過言ではない。ロッベンの後輩(オランダ人)ではコーディ・ガクポ(リバプール)、ジェレミー・フリンポン(レバークーゼン)だろうか。古巣PSVから挙げるのなら、ヨハン・バカヨコか。ただ彼らはまだ、いずれも未知数で、一つひとつのプレーにすごみが感じられない。

 ロッベンの後継者は現れるのだろうか。しばらくの間は、各所に残された彼のプレー映像を堪能するか。今宵の肴(さかな)は、オランダが生んだ名ウイングのカットインだ。

著者プロフィール

  • 粕谷秀樹

    粕谷秀樹 (かすや・ひでき)

    1958年、東京・下北沢生まれ。出版社勤務を経て、2001年、フリーランスに転身。プレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、海外サッカー情報番組のコメンテイターを務めるとともに、コラム、エッセイも執筆。著書に『プレミアリーグ観戦レシピ』(東邦出版)、責任編集では「サッカーのある街」(ベースボールマガジン社)など多数。

【フォーメーション】ロッベンがいたサイドに今は誰が?「2024-25最新布陣」

4 / 4

キーワード

このページのトップに戻る