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アリエン・ロッベンのドリブルはわかっていても止められなかった「隙のないDFなんて、この世にはいない」 (3ページ目)

  • 粕谷秀樹●取材・文 text by Kasuya Hideki

【名将ペップもロッベンを絶賛】

 ロッベンの才能は、レアル・マドリードを経てバイエルン・ミュンヘンに移籍した2009-10シーズンに真の開花を迎えた。

 左利きのウイングが右サイドの大外に張って足もとにボールを置き、緩急自在のドリブルで仕掛けていく。逆足ウイングのプロトタイプ──と言って差し支えない。

 もちろんチェルシー同様、バイエルンにも超一流のストライカーは存在した。マリオ・ゴメス、マリオ・マンジュキッチ、ロベルト・レヴァンドフスキなど、いずれ劣らぬ名うてのフィニッシャーが活躍していた。したがってロッベンの役割が、より得点に特化したわけではない。

 だが、中央エリアでプレーする機会が増え、おのずと得点に絡めるようになっていった。代名詞はカットイン。右サイドから鋭く切り返してペナルティエリアに平行するようにドリブル突破し、鮮やかな曲線を描く左足のシュートが、何度となくゴールネットに吸い込まれていく。

 バイエルンに所属した10シーズンで99得点。2014-15シーズンはキャリアハイの17得点。ロッベンとフランク・リベリの両ウイングは「ロッベリー」と呼ばれ、アタッキング・フットボールの楽しさを満天下にアピールした。

 2013-14シーズンから3年間、バイエルンの監督を務めたジョゼップ・グアルディオラも、ロッベンの突破力とゴールセンスを活用したひとりである。

「カットインからシュートに至るまでの流れは秀逸で、アドバイスは必要なかった。歴史に残るウイングと断言できる」

 世界的な名将がロッベンを絶賛した。

「グアルディオラ監督と出会ったのは、私が30歳の時だった。ミーティングなどで、状況判断の重要性をあらためて痛感した。細かい戦術論とやらは一度も聞いたことがない。私にとって最高の監督はグアルディオラだよ」

 ふたりは今でも良好な関係が続いている。モウリーニョとグアルディオラが高く評価するのだから、やはりロッベンは飛びきりのウイングだ。

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