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【プレミアリーグ】遠藤航が「陰のMVP」と言われる理由 リバプール主将、OBが「特別な存在」と大絶賛 (2ページ目)

  • 粕谷秀樹●取材・文 text by Kasuya Hideki

【遠藤はロッカールームでもプロ】

 同じくマンチェスター・シティも不甲斐なく、ケヴィン・デ・ブライネとアーリング・ハーランドが負傷し、昨シーズンまでの4連覇によってハングリー精神を失った。チェルシーは好不調の波が激しく、マンチェスター・Uとトッテナム・ホットスパーはあのザマ(14位と16位)だ。

 シーズン前にリバプールと対等、もしくははるかに上回ると言われたライバルは、次々に優勝戦線から脱落。マージーサイドの名門は10節以降、一度も首位の座を明け渡さずに戴冠した。

 ハードなスタイルのため、3月以降は足色が鈍った。昨シーズン比でスタメン出場が約3倍増となったライアン・フラーフェンベルフに至っては、疲労の色を隠せなかった。それでも、ライバルが追いつき、追い越す気配はなかった。「圧倒的」「強すぎる」「左うちわ」など、楽勝をイメージする言葉が次々と浮かんでくる。

「エンドーはピッチでもプロ、ロッカールームでもプロ」

 リバプールOBで、現在は解説者を務めるスティーブ・マクマナマンがTVショーで力説していた。

「選手はみんなスターターになりたいものだ。控えなんか受け入れたくない。でも、エンドーは辛抱し、わずか数分の出場でもパーフェクトだ」

同じくリバプールOBのディトマール・ハマンも、そう絶賛している。シャビ・アロンソに定位置を奪われた苦い経験が、遠藤の気持ちを代弁した。

 彼らの言葉は、今シーズンの遠藤を如実に表現している。中盤に攻撃力を求めたスロット監督がフラーフェンベルフを重用したため、遠藤の序列が低下した。

 このようなケースでは、監督が不利になる偽情報をエージェントが流したり、選手本人がクラブを批判するSNSに「いいね」をしたり、双方の関係が綻(ほころ)びていく。マンチェスター・Uとジェイドン・サンチョ(チェルシーにローン)が典型的な例だ。

 しかし、遠藤はただひたすらチャンスを待ち、上々のコンディションを維持し続けた。ワールドカップ予選を終えた長いフライトのあとでも、疲れも見せずにジムで汗を流した。

 そして、ごくわずかな出場時間のなかで、与えられた仕事を一分の緩みもなくこなしていった。いつの日かメディアから「クローザー」のニックネームを頂戴し、遠藤が出てくればリバプールの勝ちパターン、という考え方が定着する。

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