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アルバロ・レコバにみんな憧れた 「マラドーナやメッシと並び称される存在」と同僚サネッティが断言 (3ページ目)

  • 粕谷秀樹●取材・文 text by Kasuya Hideki

【レコバの攻撃センスはピカイチ】

 そして87分、今度はゴール正面40メートルほどの直接FK。レコバの左足から放たれた一撃は、クロスバーを舐めながらゴールに吸い込まれていった。

 敗色濃厚だったインテルを「レコバひとりが救った」といっても過言ではない。チーノはロナウドを噂の片隅に追いやり、これ以上ないセリエAデビューを飾ったのである。

 また、1998年1月のエンポリ戦の一撃も語り草である。左サイドのハーウェイライン付近から約50メートルの超ロングシュート。相手GKが少し前に出ていたとはいえ、咄嗟(とっさ)の判断で長い距離のキックを決めるのだから、さすがと言うしかない。

 さらに、1999年11月のレッチェ戦ではDFを背負いながら2度のリフティングで楽々とかわし、最後は飛び出してきたGKの頭上を軽く抜いた。

 サネッティの言葉を借りるまでもなく、レコバの攻撃センスはピカイチだった。守備の貢献度が低かったとはいえ、印象的なゴールが非常に多い。

 シモーニ監督のもとで定位置を奪えず、インテルからベネツィアにローン移籍となった1997-98シーズン後半も、信じられない距離、角度からミドルやロングシュートを幾度となくサイドネットに沈めている。19試合・11ゴール。レコバは単騎でクラブを残留に導いたのだから、「恐れ入りました」と脱帽するしかない。

 コパ・アメリカも、ワールドカップも、レコバとは縁遠かった。類稀(たぐいまれ)な才能をふまえれば、バロンドールに手がかかっても不思議ではなかったが、有力候補に挙がったことすらない。

「負傷もあったけれど、チーノがフルシーズン戦えていたら、バロンドールの候補に挙がったかもしれない。もう少しだけ真摯な姿勢でフットボールに向き合うべきだったんじゃないかな。せっかくの才能を活かしきれていなかったよ」

 こう語るのはサネッティだ。レコバを高く評価するからこその厳しい言葉である。

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