サッカー日本代表でも新天地レンヌでも悪戦苦闘 古橋亨梧が「らしさ」を発揮するために必要なプレーとは? (3ページ目)
【ボールに触れる回数が少なすぎる】
まず取り組みたいのは、ゴールに直結しないプレーにおいても、しっかりと周囲と連係を図ることだろう。少なくとも、これまで出場した4試合を振り返ると、古橋がボールに触れる回数が少なすぎる。
たとえば、後半66分まで出場したデビュー戦で、古橋がボールに触れたのは7回。以降、リール戦が5回、パリ・サンジェルマン戦が2回、RCランス戦も4回のみ。確かにそれが古橋のプレースタイルと言えばそうなるが、それでシュートが1本しか記録できていないとなれば、何らかの工夫は必要だ。
たとえば、一発でゴールにつながるような動きだけではなく、時には中盤に下りてパスをもらい、確実に味方につなげるプレーがあっていいはず。あるいは、サイドに流れてボールをキープするプレーもひとつだろう。
要は、そうやって周囲との関係性を少しずつ構築し、古橋にパスを預ければ次の展開につなげられる──という認識をチームメイトに持ってもらうことも、連係を高めるうえでは重要なポイントになるはずだ。
そのためには、ボールをもらった時にロストしないようにしなければならない。独特のフィジカルバトルが特徴のリーグ・アンでは、とりわけこのハードルをクリアしなければピッチに立ち続けることはできない。
そういう意味では、伊東純也、南野拓実、中村敬斗がそのハードルをクリアしたように、まずは正確にボールを扱うことで相手を寄せつけず、無用なデュエルを回避することも必要になるだろう。
いずれにしても、チーム内で確固たる地位を築くためにも、セルティック時代からバージョンアップを図りたいところだ。それができれば、なかなか結果を出せていない日本代表においても、その相乗効果で持ち味を発揮できるようになるはずだ。
とにかく、まずはリーグ・アンに順応することが先決。今シーズンの残り8試合はそのための適応期間と考え、今は焦らずにいろいろなことに取り組むべきだろう。
古橋にとって、本当の勝負は来シーズンだ。そこに照準を合わせることで、2026年ワールドカップ出場への道筋も見えてくる。
著者プロフィール
中山 淳 (なかやま・あつし)
1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。近著『Jリーグを使ってみませんか? 地域に笑顔を増やす驚きの活動例』(ベースボール・マガジン社)
【図】古橋亨梧のライバルは?サッカー日本代表 3月シリーズの予想メンバー
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