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サッカー日本代表でも新天地レンヌでも悪戦苦闘 古橋亨梧が「らしさ」を発揮するために必要なプレーとは? (2ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

【古橋に味方からパスが出てこない】

 この試合では、現在の古橋が置かれている状況を象徴するようなシーンが2度あった。

 ひとつは、出場直後の後半70分。相手ボックス手前でルーズボールを回収した右WBロレンツ・アシニョンがそのままボックス内に進入し、その勢いのまま右足を振り抜くも、シュートがゴール右に外れたというレンヌにとっての決定機だ。

 その時、古橋はボックス内でワンタッチゴールを狙えるポジションに入っていたが、アシニョンはそんな古橋を見ることなく、迷わずシュート。もしアシニョンがシュートではなくパスを選択していたら、おそらく古橋の加入後初ゴールが決まっていた可能性は高い。

 もうひとつは、後半78分。3バック左を務めるミカイル・フェイが相手陣内でボールを奪うと、そのままドリブルで前進してボックス内で左足シュートを放ったシーンだ。そのシュートは相手DFにブロックされたが、このシーンでも古橋は申し分のないタイミングでファーサイドに進入し、パスが出てくればゴールできそうなポジションを取っていた。

 どちらも古橋の特徴がよく出たストライカーらしい動きではあったが、ゴールを量産したセルティック時代と違い、まだ新天地ではパス自体が出てこない。ストライカーは結果がすべてゆえ、ゴールどころか、シュートもデビュー戦での1本しか記録できていない状況を考えれば、これも仕方のないことなのかもしれない。

「彼はほかのFWとは異なる能力を持っている。彼はコンビネーションプレーヤー(周囲との連係を必要とする選手)なので、現在われわれは彼が周りとの連係を図れるように必死に取り組んでいるところだ」

 記者会見でベイェ監督が古橋について語ったとおり、古橋の得点能力を生かすためには周囲との連係が重要になる。そういう意味では、トレーニングや試合でチームメイトと一緒にプレーする時間が増えれば、いずれは前述したRCランス戦のふたつのようなシーンでも、味方からパスが出てくるようになる可能性はあるだろう。

 とはいえ、繰り返しになるがストライカーは結果がすべてなので、古橋自身がゴールを決めなければ、そう簡単にはゴールチャンスで味方からパスは出てこない。だとすれば、現在のようなプレースタイルで勝負しようとするだけでは、なかなか現状を打開できないというジレンマに陥ってしまう可能性もある。

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