【プレミアリーグ】三笘薫のマンチェスター・シティ戦 アタッカーとして存在感を発揮した3シーン
プレミアリーグ第29節、マンチェスター・シティ対ブライトン。5位対6位の対戦である。両者の勝ち点差はわずかに1。47対46と競った関係にある。チャンピオンズリーグ(CL)出場圏内である4位チェルシーの勝ち点は49。ブライトンにとっては1ゲーム差だ。しかし、後続も僅差で迫る。残り10試合はクラブ史上初となるCL出場権を懸けた戦いとなる。
それはブライトンの左ウイング三笘薫にとっても同様だ。CLに出場してなんぼ。それが一流か否かの境界線と言っても過言ではない。
マンチェスター・シティ戦に先発、後半38分までプレーした三笘薫(ブライトン) photo by REX/AFLOこの記事に関連する写真を見る 昨季(2023-24シーズン)はCLの舞台に立ちながら、今季はヨーロッパリーグ(EL)での戦いを余儀なくされたレアル・ソシエダの右ウイングは、いまごろそのことを痛切に感じているに違いない。
その久保建英も2日前、ELでマンチェスターを訪れている。マンチェスター・シティのホーム、シティ・グラウンドとは市街地を挟んで反対側に位置するオールド・トラッフォードで、決勝トーナメント1回戦を戦った。結果は合計スコア2-5で敗退した。
だが久保は、2戦を通してマンチェスター・ユナイテッドを少なからず慌てさせた。ドリブルで見せ場を作り、対峙するサイドバック相手に勝負を挑む姿は、ブライトンの左ウイングより旺盛に映った。
三笘は直近の10試合ほど、対峙するSBをきれいに抜ききることができていない。当初は勝負に出たものの抜けずに終わっていたのだが、そのうち勝負そのものを避けるようになった。ドリブルでトライしなくなっていった。レアル・ソシエダの右ウイングとは対照的な絵を描き始めた。サッカー少年のようなイケイケ感を残す久保に対して、賢明にも大人のプレーを演じている。よく言えばそうなる。
ポジショニングも気がつけば内寄りになった。と同時に、ゴールが立て続けに生まれた。チェルシー戦では今季のベストゴール候補にも挙げられそうなスーパーゴールを決めている。アタッカーとしての評価を高めることになった。ウインガーとしての問題はその影に隠れる格好になった。
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著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。