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【プレミアリーグ】三笘薫のマンチェスター・シティ戦 アタッカーとして存在感を発揮した3シーン (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【的確なハーフボレーの一撃も】

 この日、最も惜しかったシーンは、その3分後に訪れた。右SBジャック・ヒンシェルウッド(U-19イングランド代表)のアーリークロスがファーサイドから走り込んだ三笘の前に到達する。マーカーのリコ・ルイスと交錯しながら押し込んだ三笘のシュートをGKシュテファン・オルテガ(ドイツ代表)が両手で押さえたのか、ファンブルしたのか。その微妙な瞬間を三笘は再び突き、身体ごと執念でゴールに押し込んだ。

 今度は三笘のゴール前に突っ込むアタッカーとしての魅力が発揮された瞬間だった。ところが主審はVARとの協議の結果、わりとあっさりノーゴールの判定を下す。三笘は肩をすくめ両手を広げるに留めたが、「もっと抗議してもいいんじゃないか?」と言いたくなる微妙なジャッジだった。

 2番目に惜しかったシーンは後半18分、カルロス・バレバ(カメルーン代表)の対角線クロスに左足を振り抜いた瞬間だ。巻くように送られてきた浮き球に対しファーサイドから走り込んだ三笘は、ハーフボレーでパチンと的確にそのインサイドで合わせると、ボールは弾かれるようにニアポスト方向へ向かった。GKオルテガが身を挺してこれを防いだが、これもアタッカーとしての存在感を高める一撃だった。

 ただし、ウインガーとしての魅力は開始3分に披露した縦突破1回に終わった。相手の右ウイング、サビーニョにプレスバックを仕掛けるなど、守備への貢献はあったものの、ドリブル&フェイントで見せ場を作る機会はなかった。採点するならば6.5か。

 試合は2-2。内容的にも拮抗した互角の好勝負だった。そうしたなかでマンオブザマッチ級の働きをしたのが、マンチェスター・シティのジェレミー・ドク。ベルギー代表の左ウイングである。三笘とは最も離れた対角の関係にある選手だが、同じ左ウイングとしてつい比較したくなった。

 ブライトンの右SBヒンシェルウッドや右CBヤンポール・ファン・ヘッケ(オランダ代表)相手に、これでもかというほど1対1を仕掛け、高い勝率を収めた。得点を決めることはできなかったが、それでも8.5は出したくなる出色の出来映えだった。

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