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【プレミアリーグ】シティ&ユナイテッドのダブル不振でマンチェスター市の「サッカー観光」産業が崩壊中 (3ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【人員削減で失業率増加】

 シティの成功の大きなカギであった監督のグアルディオラも、個人的な問題から仕事に集中できない状況にある。彼は昨年の11月にシティとの契約を2027年夏まで更新した。しかし、本当は更新には乗り気ではなかった。シティ内部の人間の話によると、契約を更新するまでに彼はチームと11回話し合いの場を設け、そのうち9回目まで契約更新に「NO」と言っていたという。どちらかというクラブ側に押しきられた感じだ。

 更新を渋った理由は、シティにおけるひとつの時代が終わったという自覚、そして何より妻のクリスティーナ夫人との問題だ。彼女はイングランドにはこれ以上滞在することを嫌がっており、夫がシティから去ることを望んでいた。

 更新の話が決まると、彼女はスペインに戻ってしまった。「離婚である」とか、「いや、まだ指輪はしているから今のところは別居だ」などと、口さがないイングランドのタブロイド紙が騒いでいて、決して落ち着いてチームを指揮できる状態にない。

 プレミアリーグ第28節終了時点で、両チームの順位はシティ5位、ユナイテッド14位。マンチェスターのアンドリュー・マレー・バーナム市長は、ふたつのチームの危機で「市は経済的な打撃を受けている」と言っている。

 少し前まで、ホームで試合のある週末には100%の稼働率を記録していたホテルも、今では最高でも60%。特に外国人観光客は激減している。市の財政を潤してきた強力な「サッカー観光」産業は崩壊した。地元のツアーオペレーターは、試合やスタジアムを訪れる観光客にサービスを行なっていたスタッフの半数以上を解雇した。

 サポーターでにぎわっていたふたつのスタジアム近辺のレストランやパブでは、最大60%の収益減が報告され、何十年も営業を続けてきた老舗の数軒は閉店の危機に瀕している。チームへの関心の低さが原因だ。試合の観客動員数はさらに減少している。以前はシティの試合のチケットを手に入れるにはかなり前から手を打たなければいけなかったが、今では、試合直前でもチケットが買える。

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