レアル・ソシエダでプレースタイルを確立した久保建英に、スペイン人記者「日本代表でレギュラーでないのは疑問」 (3ページ目)
【"made in Kubo"のプレースタイル】
久保は右ウイングとしてすでに、タッチライン近くでボールを受けた後、シュートフェイントをかけながらカットインして相手をかわし、ゴールを狙うスペースを見つけるという"made in Kubo"のプレースタイルを確立している。それは相手が止めようとしてもできない彼のトレードマークのようなものであり、その形でいくつもゴラッソを決めている。
ヘアニング(デンマーク)で行なわれたヨーロッパリーグ(EL)決勝トーナメント進出プレーオフ第1戦ミッティラン戦のゴールは、彼の資質のすべてが結集されたものだった。
この試合で久保は、定位置の右ウイングで先発し、時折前に行き、サイドを変えて違うポジションでプレーし、相手の守備陣を混乱させた。あらゆる面ですばらしいプレーを披露。チームのために自分を犠牲にし、ボールを保持して走り、チームメイトと連係してスルーパスを出した。今季6点目を記録したのは、彼が好調な時期を過ごしていることを示している。
ここで、久保がラ・レアルで体現しているすべては日本代表で多くの出番を得るのに十分ではないのか、という最初に挙げた疑問に立ち返りたい。私は正直、それに値するパフォーマンスを発揮していると思っている。彼はシステムに関係なく、ラ・レアルと同じことを代表でもできるはずだ。
大事なのは久保が代表チームの環境に適応するのではなく、彼の資質をその環境で輝かせられるかどうかである。私は代表でレギュラーになるために他のポジションでプレーする必要はなく、よりよい選手になるために今のプレーに磨きをかけていくべきだと思っている。そうすれば、彼はさらに多くのものを日本代表にもたらすだろう。その資質を輝かせるのは監督の力量にかかっている。
イマノルは久保を注意深く観察し、その資質を最大限に引き出すためにフレッシュな状態を保つことを意識している。本人が望んでいるとはいえ、今の過密日程ですべての試合に出場させようものなら、彼を燃え尽きさせ、パフォーマンスを低下させ、ケガのリスクを高める。
久保が欧州カップ戦出場権争いで重要な、ラ・リーガのベティス戦で出番が与えられなかった理由はそこにある。イマノルは後半に投入し、彼のスピードとクオリティを生かそうと考えていた。しかし不利な判定で0-3のリードを許した状況で、ただ久保を疲れさせるためだけに起用する必要はなく、次戦に向けて温存すべきと判断したのだ。
これは今後に向けて大きな意味を持つ。なぜなら次の試合はミッティランをホームに迎えてのELプレーオフ第2戦になるからだ。ラ・レアルが次ラウンド進出を決めるためには、久保がベストの状態を保つことが非常に重要となる。
(髙橋智行●翻訳 translation by Takahashi Tomoyuki)
著者プロフィール
高橋智行 (たかはし・ともゆき)
茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、リーガ・エスパニョーラを中心としたメディアの仕事に携わっている。
【画像】2026年ワールドカップのサッカー日本代表メンバーは? 識者たちが予想したフォーメーション
3 / 3