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プレミアリーグで異彩を放つグバルディオル マンチェスター・シティの次代を担うDFの能力とは? (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji

【下降線のチームのなかで気を吐く】

 チャンピオンズリーグ(CL)プレーオフ第1戦、レアル・マドリード戦の先制ゴールもグバルディオルがアシストしている。

 19分、ジャック・グリーリッシュの浮き球のパスをペナルティーエリア内で受けたグバルディオルは胸でアーリング・ハーランドに落とし、ハーランドの得点につなげた。起点もグバルディオルだった。左サイドから前線のハーランドへつなぎ、ハーランドがキープして外のグリーリッシュへ。その間にグバルディオルが一気に駆け上がっている。グバルディオル、ハーランド、グリーリッシュの3人の関係でとったゴールだ。

 試合はキリアン・エムバペのボレーでレアル・マドリードが1-1に追いつき、シティはハーランドのPKで二度目のリードを奪ったが、終盤の連続失点で2-3と敗れている。最後の2失点はいずれもミスが原因。今季のシティを象徴するような負け方だった。

 レアル・マドリード相手にも、シティはプレースタイルを崩さずボールを支配していた。しかし、決定機はむしろレアル・マドリードのほうが多く、最後にはミス連発。昨季までの圧倒的な強さがなくなっている。緻密に作り上げたチームだけに、歯車がかみ合わなくなるとこうなるのだろうか。

 このゲームのシティはマヌエル・アカンジ、ルベン・ディアス、ナタン・アケ、グバルディオルの4バックだが、攻撃ではアカンジとグバルディオルがボランチ化して、システムは2-3-5になる。シティ定番の可変だ。

 両SBが偽。数的優位を作っての組み立てと、グリーリッシュ、サビーニョのウイングへパスコースを開けるという狙いがある。グバルディオルはこの役割にフィットしてプレーの可能性を広げ、存在感を増した。ただ、一方でアカンジはどうかと言うと、無難にやってはいるが新境地を拓いたという感じはあまりしない。

 チームにとって戦術上必要なのでこなしてはいるけれども、アカンジの能力に合っているかと言えば疑問もあるわけだ。グバルディオルのようにもともと適性があれば水を得た魚のように活躍するが、必ずしもそうとはかぎらない。

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