三笘薫、アタッカーとしての総合能力の高さを証明 1ゴール1アシストでマンUを撃破 (3ページ目)
前戦のイプスウィッチ戦の三笘もゴールは決めたが、ウイングプレーはいまひとつだった。対峙する相手に突っかかっていくプレー、何よりドリブル&フェイントを披露する機会がなかった。
この日もしかり。先制弾に繋がったマズラウィの背後に飛び出した動きをウイングプレーとするのなら、そのワンプレーに限られた。ウイングプレーの真髄である、最深部からの折り返しはこの日も披露されずじまい。相手の逆を取るプレーが減っている。
得点を狙いながら、同時にドリブル&フェイントで最深部を突く。このバランスが高次元で優れている選手といえば、モハメド・サラー(リバプール)やヴィニシウス・ジュニオール(レアル・マドリード)だ。その両輪が揃う試合が、三笘の場合はまだ少ない。ウイング兼ストライカー。世界最高峰のプレミアでバランスに富んだ完璧なアタッカーになりきれずにいる。それができればスーパースターなのだが......。
8戦勝ちなしから2連勝を飾り、9位にひとつ順位を上げたブライトンに対し、マンチェスター・ユナイテッドは13位。監督がエリク・テン・ハグからルベン・アモリムに代わっても、浮上する気配はない。むしろ悪化している。国内リーグ13位(シーズン終了時)という成績は1989-90シーズンまで遡らなくてはならない。
サッカーがすっかり貧相になってしまった印象だ。このホームでのブライトン戦は完全な力負けだった。後半のアディショナルタイムは8分もあった。にもかかわらず、スタンドを埋めたユナイテッドファンの4割ほどは、終了の笛を聞く前に帰宅の途に就いた。心配である。
著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。
フォトギャラリーを見る
3 / 3