久保建英の活躍で変わった日本人観 スペインで飛躍が期待できるディフェンダーはいるか (3ページ目)
他にも、板倉滉(ボルシアMG)は実力者だし、瀬古歩夢(グラスホッパー)は高さやパワーがあり、町田浩樹(ユニオン・サン・ジロワーズ)は左利きでセンスも感じさせる。ただし、決定打がない。外国人枠も限られたなかで日本人ディフェンダーを獲得するべきか、という疑問が残る。
サイドバックも、同じことが言える。菅原由勢(サウサンプトン)、毎熊晟矢(AZ)は好選手だし、攻撃面でアドバンテージを作り出せる。しかし、ラ・リーガでは久保のようなアタッカーたちが仕掛けてくるわけで、サイドバックは防御力を求められる。各クラブとも、サイドバックは自前選手、もしくはスペイン人選手を多用する傾向があるだけに、競争は分が悪いだろう。
かつての酒井宏樹(オークランド)だったら、スペイン挑戦をあと押ししたいところだが......。
最後にGKだが、このポジションは次世代に託したい。ラ・リーガのGKは1部の正GKだけでなく、控えGK、2部のGKに至るまで、ハイクオリティ。日本代表レベルのGKがそこら中にいる。
たとえば、バレンシアは今シーズン、1部残留争いの最中だが、GKはギオルギ・ママルダシュビリ、ストレ・ディミトリエフスキ、ハウメ・ドメネクと、3人とも実力派揃いだ。ジョージア代表ママルダシュビリはユーロ2024でも注目を浴び、北マケドニア代表ディミトリエフスキはかつて鈴木のチームメイトで、シュートストップは神がかり的だ。ドメネクも過去にはバレンシアの正GKだったことがあり、堅牢さを誇る。
GKのポジションは、残念ながら日本とはまだ差があるのが実情だ。
久保が開拓した日本人選手の居場所を、さらに広げられるか。その答えは日本サッカーの発展とも同義と言えるだろう。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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