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久保建英の活躍で変わった日本人観 スペインで飛躍が期待できるディフェンダーはいるか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【攻撃よりも"スペイン流"への適応が要求される】

 ラ・リーガ1部のディフェンス強度は、プレミアリーグより劣るかもしれない。しかし、ずる賢い選手同士の対戦になるだけに、最大限の集中が求められる。ドイツやオランダでのプレーを経験していても、慣れるのに苦労するはずだ。ベルギーやスコットランドの1部では、スペイン2部レベルがいいところだ。

 そして守りのポジションは、攻撃のポジションよりも"スペイン流"の適応が要求される。動きの連係では、どうしても考え方の違いが出るため、そのズレに対応するのに労力を使う。言葉がわからないことは致命的なハンデになる。

「サッカーボールは世界の共通語」というのはまやかしである。少なくともスペインでは、スペイン語でコミュニケーションを取れる選手だけが本来の力を出せる。ガレス・ベイルは英語しか話せず、最後は孤立していた。

 適性のある日本人ディフェンスは少ないが、たとえば吉田麻也は条件を満たすだろう。吉田はオランダ、イングランド、イタリア、ドイツと欧州各国でプレーした後、MLSのロサンゼルス・ギャラクシーでは優勝チームのキャプテンになっている。その適応力は特筆に値する。彼がバックラインからうるさいほど声をかけ続けられるのは、単なるリーダーシップだけではなく、それだけ頭を使っているからだ。

「吉田は弱点を見せないうまさがある」

 スペイン人スカウトたちも語っていたが、実に老練なディフェンダーで、最盛期だったら、ラ・リーガでも十分にプレーできたはずだ。

 冨安健洋も、あらゆる資質に恵まれているディフェンダーだ。ただ、彼はすでにアーセナルのプレーヤーで、スペインでもプレーできる力があるのは明白だろう。言い換えれば、ラ・リーガに新天地を求める可能性は低い。そして何よりケガが心配だ。

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