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久保建英、現地メディア絶賛の決勝ゴールで「道を広げる」 急浮上、アーセナル移籍はあり? (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【最適の移籍先のひとつだろうが...】

 逆境のなか、久保はひとりでチャンスを作り出していた。久保番のセルジ・カルドナを中心に、ボランチ、サイドMF、左センターバックでビジャレアルに強固な防御線を敷かれていたが、自分にマークを引きつけながら翻弄。力の差を見せつけた。

 前半22分、久保はマルティン・スビメンディからのロングパスを収めると、3人を引きつけて、ルカ・スシッチのミドルをお膳立てしている。33分には、ナイエフ・アゲルドのロングパスを収めると、久保番のセルジ・カルドナを縦に振り切りって放った右足クロスが跳ね返されると、そのこぼれ球から再び縦に切り込み、マイナスクロスをスシッチにアシスト。だが、シュートはポストを叩いた。

 なかなかゴールネットを揺らせずにじりじりとしていたが、後半6分、冒頭に記したように久保が独走して今シーズン4得点目を決めた。

 その後、チームはポゼッションを守備に使い、久保も相手を引きつけながら味方を生かしていた。実に老獪な試合運びだった。後半38分にお役御免で途中交代するまで、チームを引っ張っていた。

 こうした試合を重ねることで、チームは順位を上げている。EL、スペイン国王杯はタイトル獲得のチャンスが十分にある。その結果、中心選手である久保の道も広がるはずだ。

 今冬には、プレミアリーグ、アーセナルの移籍の噂がにわかに湧きあがっている。アーセナルが久保に興味を持っているのは事実で、符合性も高い。実際に多くの選手が両チームを行き来し、プレーモデルも近く(ミケル・アルテタ監督はサン・セバスティアン出身で、1シーズンだがラ・レアルでもプレーしている)、今シーズンはミケル・メリーノが新天地を求めたばかりだ。

 そしてレフティアタッカー、ブカヨ・サカがケガで離脱。これを契機に、「久保待望論」となったわけだが......。

 久保にとって最適の場所のひとつだろうが、冬の移籍は現実的ではない。

 シーズン途中のリーグをまたいだ移籍はリスクが高く、今や多くのクラブや選手が消極的になっている。異なるリーグ、異なるチームに、シーズン途中で加入する移籍は成功率が低く、適応に時間がかかる。クラブも話題を提供するだけで、費用対効果が低いのだ。

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