セリエAアタランタのエース、ルックマン アフリカ年間最優秀選手の絶対的なプレーがすごい (3ページ目)
【変化するアフリカ系選手の状況】
生まれも育ちも欧州である場合、かつては欧州の代表を選択するケースが多かった。これはドイツ生まれのトルコ人もそうなのだが、21世紀に入ると欧州ではなく両親の母国の代表チームを選択することが増えている。タイミングが違えば、例えばジネディーヌ・ジダンはフランス代表ではなくアルジェリア代表で、メスト・エジルもドイツ代表ではなくトルコ代表でプレーしていたかもしれない。
アフリカの選手を最も早く受け入れたのは、ベルギーとフランスだった。スペインも少数いたが、1970年代までのドイツ、イタリア、イングランドにはほとんどいなかったものだ。現在、フランス代表はアフリカ系の選手で占められるようになり、イングランド代表でも黒人選手は珍しくなくなった。
昨年の受賞者、ビクター・オシムヘンはジョージ・ウェアのセリエAでのアフリカ人最多得点記録を塗り替えている。今季はナポリからガラタサライ(トルコ)に期限付き移籍しているが、ルックマンの受賞によって2年連続でセリエAからアフリカMVPを輩出したことになる。オシムヘンとルックマンが前線に並ぶナイジェリア代表はなかなかの壮観だろう。
著者プロフィール
西部謙司 (にしべ・けんじ)
1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。
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