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プレミアリーグ首位に貢献 遠藤航のライバル、フラーフェンベルフは「新しいリバプールの象徴」 (3ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji

【新しいリバプールの象徴】

 ボールから目を切る能力は、それが日常的に必要とされている環境がないとまず身につかない。つまり、6番を経由させてボールを運ぶプレースタイルのチームにいなければならないが、アヤックスはまさにそういうチームだった。

 フラーフェンベルフの6番定着によって、リバプールは新監督の戦術を軌道に乗せることができた。

 相手FWの背後でパスを受け、長いパスでFWを走らせる。また、自身が大きなストライドのドリブルで一気にボールを運ぶ推進力は、フラーフェンベルフ独特の長所だ。

 ただ、このポジションの役割は攻撃だけではない。

 インサイドハーフとしてのフラーフェンベルフは、守備でのアジリティや強度に難があった。プレミアリーグのスピードと激しさのなかでは、やや緩慢な印象だったのだが、6番として相手を迎撃する守備ならば、そのリーチと読みのよさを発揮して無難に守れている。

 クロップ前監督の時代、リバプールの6番はプレッシングのうまさ、強さが必須で、いわゆるゲーゲン・プレッシングの軸になれるかどうかが問われていた。昨季、補強のターゲットだったモイセス・カイセド(現チェルシー)はまさにそのタイプで、カイセドの代わりに獲得した遠藤航もそうだ。

 スロット新監督下のリバプールは、それよりもボール保持局面で能力の高い6番を必要としている。前監督時代の縦への速さ、対人の強さを引き継ぎながら、保持力を高めようとするにあたって、フラーフェンベルフは替えの効かない存在であり、チームの進化のためのキーマンと言える。

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著者プロフィール

  • 西部謙司

    西部謙司 (にしべ・けんじ)

    1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。

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