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マンチェスター・ユナイテッドの本拠地は「夢の劇場」こと「オールド・トラフォード」~欧州スタジアムガイド~ (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

 当時はコンサートなどを行なうことも想定されていたため円形で80,000人を収容することができた。そこにはイギリスらしくティールームが設置され、さらに、大浴場やビリヤード、マッサージルームなどが導入されていったという。
 
 だが、第2次世界大戦中にドイツ軍により爆弾が投下され深刻なダメージを受けた。そのため、1941年から再建の間は、ライバルのマンチェスター・シティのホームスタジアムであるメイン・ロードを借用していた時期も。
 
 1949年にはユナイテッドはオールド・トラフォードに戻り、その後は照明や屋根が取り付けられていった。1966年にはイングランドワールドカップ開催のため改修され、1980年代にはファミリースタンド、1986年に公式ショップ、レストラン、展示館もオープンした。
 
 さらに、観客が亡くなった「ヒルズボロの悲劇」の影響で、1992年から1993年の間にストラット・フォード・エンド(現在のウェストスタンド)は改修された。その結果、立ち見席がなくなり座席が設置され、約44,000人収容となった。その後、クラブの人気からスタジアムは再び拡張されていき、2003シーズンの終わりには75,000人の観客を収容することが可能となった。
 
 2008年、欧州王者になってから40周年を記念し、ノース・スタンドにクラブ歴代最多となる247得点のボビー・チャールトン、歴代2位の237得点を挙げたデニス・ロー、そしてジョージ・ベストの3人の「ユナイテッド・トリニティ」の銅像が建立された。
 
 現在約76,000人が収容可能なスタジアムとなり、以前はユナイテッド・ロード・スタンドとノース・スタンドと呼ばれていた、約26,000と最も多い座席があるバックスタンドは、ファーガソンが監督に就任してから25年が経過したことを記念して、2011年11月5日に「サー・アレックス・ファーガソン・スタンド」と改名された。クラブで最も長く監督を務めた人物であることを称え、高さ9フィート(2.7m)のファーガソンの像が、2012年11月23日にスタンドの外に建てられた。
 
 また反対側のメインスタンドは、2016年4月3日に「サー・ボビー・チャールトン・スタンド」という名称に変わった。サー・ボビー・チャールトン・スタンドの裏に現在でもボールを左手に抱えて立っているのが、ユナイテッドの最初の最盛期を支えたマット・バスビーの像だ。バスビー監督は、1948年にはFAカップを制し、1951-52シーズンには41年ぶりのリーグ戦優勝を果たす。1958年、バスビーは多くの選手も命を落とした飛行機事故「ミュンヘンの悲劇」で瀕死の重傷を負うが、3カ月後奇跡的に復活し、1968年、クラブ史上初のヨーロッパカップ制覇を達成。特に、ユース世代の育成に力を入れていたため、この監督に育てられた選手達は「バスビー・ベイブス」と呼ばれた。

 バスビーは1994年85歳で亡くなった。その前年、功績が称えられオールド・トラフォードの所在地は「Warwick Road」から「Sir Matt Busby way」と改名されている。

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