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ベルギー代表クルトワは「絶対に先読みしない」異次元GK 6年前の悪夢「ロストフの14秒」も演出 (2ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

【世界を見渡してもクルトワだけ】

 では、具体的にはどのようなプレーに、それが表われているのか。クルトワのGKとしての特長と武器について、あらためて南氏に聞いてみた。

「最大の武器は、シュートストップにあると思います。わかりやすく言えば、普通は決まっているはずのシュートを、手足を伸ばして止めてしまうということ。誰もが『入った!』と思ったシュートでも、クルトワはそれを普通に防ぐことができる。

 あれだけのサイズがありながら、小柄なGKのような俊敏性もあるので、ゴールの隅に飛んだシュートにも反応し、長い手足を駆使してボールに触れることができるというのが、最大の強みと言えるでしょう。

 もちろん、GKが難しいシュートを止められるのは、手足が長いだけではダメで、細かいステップが踏めるかどうかも大事な要素になります。ですが、クルトワはあれだけの身長がありながら、細かいステップを踏める。

 大柄なGKは手や足が届く範囲が広いので、細かくステップを踏まないでそのまま飛んでシュートストップを試みるケースが多いです。しかし、クルトワは自分のサイズに頼ることなく、しっかりステップを踏むことによって、最大限にサイズの強みを生かすことができています。

 たとえば、GKには『コラプシング』というテクニックがあります。これは、足もとのシュートに対してボールサイドの足を抜いて、自ら体勢を崩して手でシュートを防ぐテクニックですが、サイズのあるGKの場合、足もとに飛んでくるシュートに対しては足を使って防ぐケースが多い。

 ところがクルトワの場合、コラプシングで足もとのシュートを防ぐシーンをよく見ます。これも細かいステップを踏めるからなせる業(わざ)で、このようなテクニックを兼備する2メートルクラスのGKは、世界を見渡してもクルトワだけではないでしょうか。

 とにかく相手からすると、ほとんどシュートコースが見えない状況でシュートするしかない。これは、ほかのGKにはない大きなアドバンテージになっていると思います」

 南氏が説明してくれたとおり、たしかにクルトワのビッグセーブがチームの勝利に直結する試合は多い。ストライカーがひとつのゴールでチームを勝たせるのと同じように、GKはひとつのビッグセーブで勝負を決めることができる。クルトワは、これまで数えきれないほどの試合でそれを証明し、サッカーにおけるGKの重要性を示してきた。

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