ベルギー代表クルトワは「絶対に先読みしない」異次元GK 6年前の悪夢「ロストフの14秒」も演出
【新連載】
南雄太「元日本代表GKが見た一流GKのすごさ」
第2回:ティボ・クルトワ(ベルギー)
日本のサッカーファンにとって、決して忘れることのできないシーンがある。
2018年ロシアワールドカップのラウンド16で、日本代表がベルギー代表と繰り広げた死闘における後半アディショナルタイム。いわゆる「ロストフの14秒」である。
2−2で迎えたその瞬間、日本のコーナーキックのチャンスで本田圭佑が蹴ったボールを、ベルギーの守護神ティボ・クルトワがキャッチしたところから始まったベルギーの完璧な高速カウンターが、日本のベスト8進出の夢を阻んだシーンだ。
世界屈指のテクニックを誇るティボ・クルトワ photo by AFLOこの記事に関連する写真を見る「あの場面でクルトワは難なくボールをキャッチしていますが、GKからすると、ボールが少し落ちてきていて、キャッチするのは意外と難しいボールです。
でも、クルトワはああいった難しい軌道のボールでも難なくキャッチできる。サイズがあるからこそではありますが、あのシーンを切り取っても、その能力の高さがわかります」
そのようにGK目線で解説してくれたのは、現在横浜FCフットボールアカデミーサッカースクールのGKクラスのコーチ、そして流通経済大学付属柏高等学校のGKコーチも務める南雄太氏だ。
32歳になった現在も「世界屈指のGK」として君臨するレアル・マドリードのクルトワは、どのような特長と特殊な能力を持っているのか。前回のマヌエル・ノイアーに続き、今回は南氏がクルトワのすごみについて解説してくれた。
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「クルトワの最大の強みは、2メートルという身長でありながら、まるで180cmくらいのGKのように動けることですね。
通常、これだけのサイズがあると、えてして動きが重かったり、硬かったりするものですが、クルトワはサイズがあることがネガティブな要素になっていなくて、むしろすべてがポジティブに働いている。おそらく両親が元バレーボール選手だったことも影響しているのでしょうが、生まれ持ったアスリート能力がプレーの随所に生かされています」
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著者プロフィール
中山 淳 (なかやま・あつし)
1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。近著『Jリーグを使ってみませんか? 地域に笑顔を増やす驚きの活動例』(ベースボール・マガジン社)