守田英正の同僚・スポルティングのギェケレシュがスゴい 長身の北欧FWは現代サッカーでなぜ活躍? (3ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji

【北欧ストライカーはなぜ活躍?】

 北欧のストライカーが活躍している。スウェーデン人のギェケレシュだけでなく、マンチェスター・シティのアーリング・ハーランドはノルウェー人。昨季ビジャレアルで得点を量産してアトレティコ・マドリードへ移籍したアレクサンダー・セルトーロもノルウェー。マンチェスター・ユナイテッドで9番を背負うラスムス・ホイルンドはデンマーク人である。

 北欧ストライカーの共通点は、何と言ってもサイズの大きさ。長身国なので長身ストライカーには困っていない。

 ノルウェー代表の歴代FWは当然のごとく長身で、ヨン・カリュー(195㎝)、トーレ・アンドレ・フロー(193㎝)など、見るからに巨人だった。

 スウェーデンは古くから強豪国で、1960年代のミランを牽引した「グレ・ノ・リ」はスウェーデンのトリオ。グンナー・グレン、グンナー・ノルダール、ニルス・リードホルムの名前からつけられたニックネームだが、ストライカーのノルダールは185㎝と当時としてはかなり長身である。その後もラルフ・エドストレーム、ケネット・アンデション、ズラタン・イブラヒモビッチ、マルクス・ベリ、アレクサンデル・イサクと長身ストライカーを途切れなく輩出してきた。

 ただ、現在活躍している北欧ストライカーたちは、長身なだけでなく爆発的なスピードを有している。歴代長身FWと比べると機動力に富み、守備もしっかりやれる傾向がある。

 大きくてポストワークができるうえに、速さもあるのが魅力だ。ポジショナルプレーの普及によって自陣からビルドアップするチームが増え、それに伴ってハイプレスでビルドアップを寸断しようとする守備も増えた。そこで、ハイプレスをロングボールで回避するとともに、相手を引きつけて一気にひっくり返す「擬似カウンター」も常套手段になっている。

 高くて、強くて、速い北欧ストライカーはその点で需要が大きく、ギェケレシュ、ハーランド、セルロート、ホイルンド、イサクの北欧FWが各国リーグで点をとりまくっている現象が起こっているわけだ。

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著者プロフィール

  • 西部謙司

    西部謙司 (にしべ・けんじ)

    1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。

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