「レッドブル・アレーナ」 歴史ある街・ライプツィヒの新興クラブのホームスタジアム (3ページ目)
ライプツィヒで創設されたドイツサッカー協会(DFB)の100周年を記念して、2000年に現在のアレナの礎石が据えられた。新スタジアムは、旧スタジアムの古い壁やスタンドがそのまま残った状態であり、旧スタジアムのグラウンドとランニングトラックがあった中央に新たに建設される珍しい例となった。
ふたつのアーチが特徴的であり、スタンド全体は屋根で覆われることになった収容43,000人の新スタジアムは2004年7月に正式にオープン。旧東ドイツ領で唯一、2006年ドイツワールドカップの会場にも選ばれた。
5試合開催されたワールドカップ時は「ツェントラールシュタディオン」の名で使用された。サッカーの試合だけでなく、コールドプレイ、エルトン・ジョンといったアーティストのコンサートも開催されている。
しかし、ワールドカップ以降、プロサッカークラブの試合が行なわれない時期が続いたため、所有者の映画プロデューサーであり実業家のミヒャエル・コーメルは売却を考えるが、地元ファンなどの反発にあって難航。そんな中、2010-11シーズン、スタジアムはRBライプツィヒのホームスタジアムとなり、レッドブルは命名権を獲得し「レッドブル・アレーナ」に変更したというわけだ。
その後、クラブは正式にスタジアムを買い取り、スタジアム前の牧草地も購入すると、大規模な改修計画を発表した。当初は55,000席ほどに拡張する予定だったが、計画は変更され、青だった座席はクラブカラーに合わせた赤と白に変更。総座席数は47,069席(うち立見席は10,500席)になった。クラブが結果を残すとともに、ファンも集まるようになり、この2シーズンの平均入場者数は約45,000人と、常に観客が埋まっている。
昨シーズン4位となり、今シーズンもライプツィヒはチャンピオンズリーグの出場権を得た。リバプール(イングランド)やユヴェントス(イタリア)、アトレティコ・マドリード(スペイン)など強豪との対戦が控えているが、兄弟チームのザルツブルクとともに上位を狙っている。
新しいサッカークラブによってライプツィヒはかつての活気を取り戻したが、ドイツサッカーの伝統も感じられる「レッドブル・アレーナ」は、これからもその歴史を紡いでいくはずだ。
著者プロフィール
斉藤健仁 (さいとう・けんじ)
スポーツライター。 1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。2000年からラグビーとサッカーを中心に取材・執筆。ラグビーW杯は2003年から5回連続取材中。主な著書に『ラグビー『観戦力』が高まる』『世界のサッカーエンブレム完全解読ブック』など多数。
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