ユーロ2024準決勝でイングランドがオランダに劇的逆転勝利 優勝候補本命がここまで苦戦続きなのはなぜか? (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

 その3-4-2-1は、表記どおりクリスマスツリーの型を描いた。攻撃は中央が大半で、オランダの守備陣には極めて守りやすい状態にあった。左のライン際からの折り返しは、後半43分、トリッピアーと交代で入ったルーク・ショー(マンチェスター・ユナイテッド)の1本だけだった。

 想起するのは、スペインが数年前まで陥っていた"中盤サッカー"だ。ニコ・ウィリアムズ(アスレティック・ビルバオ)、ラミン・ヤマル(バルセロナ)という両ウイングの登場で、そこから脱することに成功したスペイン対して、うまさが増したことで中盤サッカーに向かいつつあるかに見えるのがイングランドだ。

 決勝戦の注目は、イングランドの左対スペインの右となる。

 イングランドが3-4-2-1で臨むなら、トリッピアー(あるいはショー)対ダニエル・カルバハル(レアル・マドリード)+ヤマルの対決になる。イングランドはここで後手を踏む可能性が高い。その分を中央攻めで補おうとするのだろうが、このマッチアップを英国ブックメーカー各社は6対4でスペイン有利と見ている。注目したい。

著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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