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コパ・アメリカ2024でロドリゴはブラジル代表を救えるか サッカー王国の必殺技「タベーラ」の使い手 (3ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji

【即興をやれる資質を持った選手がいるか】

 ただし、「ペレ」をやるにはそれなりの人材が不可欠である。

 密集を突破できるのはテクニックとスピードも重要だが、それ以上に何が見えているか、何を見ているかが決定的で、そのセンスの持ち主が何人いるかでほぼ成否が決まる。ペレとトスタン、ジーコとソクラテスのようなパートナーが必要だ。

 長年、セレソンを率いていたマリオ・ザガロいわく、「プランを廃して自由にプレーすること。監督に言われたようにプレーするのではなく、どうプレーするかわかっている選手たちと共にあることが重要だ」。

 即興をやれる資質を持った選手を、どれだけ揃えられるかにかかっている。だから、10番タイプを何人も同時起用するといった、他国がまずやらない編成も平気でやってきたわけだ。

 何を見るか。タベーラの名手たちは、複数の相手を見ている。

 具体的には主に「門」になっている相手センターバック(CB)ふたり。まず、CBのどちらにも捕まりにくいポジションにいる選手にパスをつける。そして「門」の開閉に応じて進入路を決める。閉じれば外、開いていれば間。相手が動く(または動かない)ことで、守れない場所ができるので、そこを通過する。

 原理は単純だが、密集していて突破スペースがないなか、数秒先に空く場所をイメージできる選手はけっこう希少なのだ。

 最初は「ガリンシャ」だったネイマールは、のちに「ペレ」になった。カタールW杯のクロアチア戦でのゴールはまさにタベーラの神髄。2つのワンツーでど真ん中を破ったネイマールのパートナーは、ロドリゴとルーカス・パケタだった。

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