ユーロ2024開催国ドイツは16強以降を見越した戦いに 「ムシアラ」への依存度をどうとらえるか
グループリーグの2巡目を迎えるユーロ2024。開幕戦でスコットランドを5-1で一蹴した開催国ドイツは6月19日(日本時間20日午前1時)、ハンガリーと対戦する。
こう言っては何だが、上記の3チームにスイスを加えたこのグループAは、"無風"同然と言える。最強と目されるドイツが、2番手と目されるスイスと3試合目に対戦する日程も、その状況に拍車をかける。早々と2勝し、ベスト16に勝ち名乗りを挙げる可能性はどこよりも高い。
2戦目の対戦相手であるハンガリーも、スコットランド同様、ドイツには歯が立たないと見る。スイスに1-3で敗れた初戦の試合内容も、残念ながら冴えなかった。ドミニク・ソボスライ(リバプール)という光る選手はいるが、その輝きがチーム全体に波及していない。5バックで後ろを固め、ソボスライの足もとから繰り出される1本のパスで得点機をうかがうサッカーに、ドイツが屈するとは思えないのである。ドイツのユリアン・ナーゲルスマン監督はハンガリー戦で、ベスト16以降を見据えた戦いをすることになるだろう。
ドイツ代表のエースとなった21歳のジャマル・ムシアラ photo by AP/AFLOこの記事に関連する写真を見る ドイツは、この大会の本命ではない。ブックメーカー各社はフランス、イングランドに続く3番手と分析する。
初戦のスコットランド戦。確かにスコアは5-1の大勝だったが、だからといって、3番手からフランス、イングランドを抜き、一番手に挙げたくなるサッカーをしたかと言えば、ノーだ。ドイツの強さが目立った試合と言うより、スコットランドの力不足が目立った試合。ひと言でいえばそうなる。
スコットランドは、5バックで後方を固める作戦に出たはいいが、開始10分、先制弾を浴び、19分に追加点を許す。スティーブ・クラーク監督は、守備的サッカーをする意味がなくなったにもかかわらず、作戦を変更できなかった。手をこまねいている間に、ディフェンダーが一発レッドの反則で退場処分となる。前半終了間際に起きたこの一件で、スコットランドは事実上のギブアップとなった。
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著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。