南野拓実が2年目のモナコでバージョンアップ どこのポジションでも「消えずに」活躍で現地メディアも高評価 (3ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

【代表でも見せたことのないプレー】

 すると、シャドーの一角として得点に絡む仕事に集中する立場から、中盤と前線のつなぎ役も担わなければならなくなった。そのことで、自然とミドルサードでプレーする機会が増加。中盤でボールを受け、サイドや前線に素早く展開するほか、アタッキングサードではラストパス、あるいはその一手前のパスによってチャンスメイクを担うようになったのである。

 南野がその役割に適応すべく試行錯誤しているように見えたのは、前述した『レキップ』紙の採点で4点が続いた、ちょうどその時期のことだった。

 もっとも今シーズンの南野は、開幕からボールを丁寧かつ正確に扱うプレーが際立っていたため、新しい役割に適応するまでにはそれほど時間はかからなかった。むしろ、正確にボールを扱うことでプレースピードも上がり、ワンタッチで離す局面と保持してプレーする局面の使い分けもスムースに。気づけば、プレーの幅は大きく広がっていた。

 それを象徴するのが、日本代表でプレーした11月16日のワールドカップアジア2次予選・ミャンマー戦の2アシストだ。

 自陣で引いて守るミャンマーに対し、スペースを見つけられずに苦戦していたその試合で、南野はボックス手前からDFラインとGKの間にチップキックで浮き球のピンポイントパス。上田綺世の先制点をアシストした。後半にも、相手ペナルティエリア内の狭いスペースに軽く浮かせたパスを供給し、再び上田のゴールをお膳立て。

 その2アシストは、まるでフォファナやゴロヴィンのプレーにインスパイアされたかのようなパスであり、南野がそれまで見せたことのなかったプレーだった。

 こうして新しい武器を手にした南野は、以降、どのポジションで出場しても攻守両面で能力を発揮できる選手にバージョンアップした。

 たとえば昨シーズンまでは、4−4−2のサイドハーフで出場した試合ではほとんどよさを出せなかったが、今シーズンの南野はサイドハーフでもチャンスを作り、自らゴールも決める選手に進化。同時に、守備面での貢献も以前より目立つ試合が増えた印象を受ける。

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