町田浩樹が110年ぶりの快挙に大興奮「鹿島時代は、心の奥にわだかまりがあった」移籍も五輪OAも否定せず (2ページ目)

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko

【僕にとって違う意味のこもったタイトル】

 そんな2018年からの取り組みがひとつの形となったのが、このベルギーカップ優勝だ。その決勝点を町田が決めた。ゴール直後はチームメイトにもみくちゃにされ、カメラに向かってポーズも決めたが、そのあたりの記憶はあまりないという。

「興奮していたので覚えてないですけど、サポーターも本当に待ち望んでいたことだと思いますので、ああいう状況のなかで先制点を取れてよかったです」

 後半は冷静になって危なげなく守りきり、この先制点が決勝点になった。

 町田自身はプロ入り後、これで4度目の優勝経験となる。しかし今回の優勝は、それまでとは違って大きな意味を持つ。町田が言う。

「鹿島時代は自分の力でタイトルを取れなかったんで。それをすごい、根に持っていたというか。何だろう......ずっと心の奥にわだかまりがあったんですよ。そういう意味で、自分がタイトルをもたらせたってことは、すごくうれしいです」

 鹿島アントラーズのアカデミー育ちで、2種登録選手を経て2016年からトップチームに昇格。町田は鹿島という強豪クラブ在籍時、タイトルに手をかけた過去が4度ある。

 1度目は2016年のリーグ優勝。しかし、この年はシーズンを通してリーグ戦の出場時間がなく、ルヴァンカップに2試合出場しただけだった。2度目は2017年2月、浦和レッズとのゼロックススーパーカップ。決勝はベンチ入りを果たしたものの、ピッチに立つ機会はなかった。

 3度目は2018年11月のACL。ペルセポリスとの決勝戦はホーム・アウェーともに「たぶん19人目だった」(町田)ベンチ外。そして4度目は2020年1月。ヴィッセル神戸に敗れた天皇杯決勝もベンチ外だった。

 2022年1月からサンジロワーズに移籍したあとも、負傷などで出場時間は増えず苦しんだ。そして3シーズン目の今季、ようやく主力としてコンスタントに戦えた。

「初めてピッチで優勝を経験できたので、それはよかったです。自分で(タイトルを)もぎとれたのはアメージング。初めてなので感慨深いし、ちょっと違う意味のこもったタイトル......僕にとっても、クラブにとっても」

 心底噛みしめるように、そう話した。

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