PSG、敗れてなお強し CL準決勝第1戦でポスト直撃2連発弾 エムバペ本領発揮 (3ページ目)
【エムバペの来季は?】
マークにはマルセル・ザビッツァー(オーストリア代表)がついていた。対応はできているかに見えたが、エムバペのほうが一枚、上手だった。ボールを微妙にずらしながらシュート機会をうかがい、巻くようなインフロントキックをファーサイドに蹴り込んだ。
これが決まっていれば試合の流れは一変、結果はまったく違ったものになっていたはずだ。だが、シュートはポストを直撃。さらにその流れで今度はハキミがニアサイドを狙うと、これまたシュートはポストを強襲した。PSG、敗れてなお強し。そんな印象を与えたポスト直撃2連発弾だった。
エムバペを見て連想するのは、前の日にバイエルンと戦ったレアル・マドリードのヴィニシウス・ジュニオール(ブラジル代表)だ。両者のプレーの適性はほぼ一致する。フリーで走らせたらエムバペのほうが速いかな、という程度の違いだ。
ヴィニシウスが、バイエルン戦の同点のPKにつながるロドリゴ(ブラジル代表)へ送ったパスも、左45度からだった。ともに左ウイングとしてプレーさせても十分にいける、左に流れるプレーが好きなストライカーである。エムバペは来季、レアル・マドリードに移籍するとの話だが、ヴィニシウスが残留するとすれば、このふたりの関係はどうなるのか。今から余計な心配をしてしまう。
PSGについていえば、後半20分、バルコラと交代でピッチに入ったランダル・コロ・ムアニ(フランス代表)が最後までフィットしなかった。追い上げムードに水を差す要因になっていた。コロ・ムアニは中央が務まるストライカーだ。エムバペを左ウイングに置いたほうがバランスは取れたのではないか。
この日、出場機会はなかったイ・ガンイン、そして前日のレアル・マドリード戦でスタメンを飾ったバイエルンのCBキム・ミンジェと、韓国人選手がこの段階でふたり、CL決勝進出の可能性を残している。パク・チソン(マンチェスター・ユナイテッド時代)、ソン・フンミン(トッテナム・ホットスパー)に続く、アジア人ファイナリストになれるかにも注目したい。
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著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。
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