CL久保建英ら日本人所属5チーム&全勝4チームを解剖 順調な王者と心配な白い巨人 (2ページ目)
【レアルの変化は吉と出るか凶と出るか】
指揮官カルロ・アンチェロッティが、ミランの監督としてCLを制した2006-07シーズンと同じ布陣である。レアル・マドリードの監督として今季で通算5シーズン目を迎えるが、この布陣の採用は初めてで、かつての栄光にすがろうとしているかのように見える。
サイドアタッカーは左右のサイドバック(SB)各1枚。高い位置からのプレスはかかりにくい。ブラガ戦でも、1点を追いかける相手が終盤、攻勢に転じると、自ら引いて構える態勢を取った。
レアル・マドリードがバルセロナからルイス・フィーゴを獲得したとき、当時の監督ビセンテ・デル・ボスケに話を聞けば、獲得した理由についてこう説明した。「2トップのサッカーから3トップのサッカーに変え、攻撃のルートを2本から3本に増やしたかった。そのために右ウイングを獲得したのだ」と。レアル・マドリードは以来、20年強、基本的にずっと3トップだった。両ウイングが存在するサッカーを実践してきた。
ベリンガムという欧州を代表する若手選手を獲得したが、他方でサッカーは後ろに重たくなった。この大きな方向転換。吉と出るか凶と出るか。少なくとも昨季の覇者、マンチェスター・シティとは真反対のサッカーである。時代の流れとは異なるサッカーで欧州一の座にカムバックできるだろうか。難しい、と筆者は見る。
バルセロナは強いのか、弱いのか、判然としない。右肩上がりに転じていることは確かだろう。どん底からは脱したとみるが、上昇の程度がわからない。将来有望な若手は目白押しだが、それが成績にどこまで反映されるか。
ベンフィカ戦でMVPを受賞する活躍を見せた久保建英(レアル・ソシエダ)photo by Ricardo Larreina/AFLOこの記事に関連する写真を見る 日本人選手が所属するクラブではフェイエノールトのサッカーが光った。2戦目のアトレティコ・マドリード戦は2-3で惜しくも敗れたが、3戦目のラツィオには、質の違いを見せ快勝。E組でこの日セルティックに引き分けたアトレティコを抜き、トップに立った。
1トップで先発したメキシコ代表サンティアゴ・ヒメネスが2ゴールを挙げる活躍だったため、上田綺世に出番が回ってきたのは後半34分だった。追加タイムは6分。上田のプレー時間はすなわち正味17分間あった。ところが上田はその間、有効なボールタッチが1度もなかった。待つタイプのCFとはいえ、これではアピールにならない。好調ヒメネスとの差が目立つ恰好になった。
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