三笘薫の「ほぼ先制弾」で息を吹き返したブライトン 反撃の予兆は90年代のアヤックスを彷彿させる

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

 ヨーロッパリーグ(EL)はグループリーグの前半3試合を終了。全8グループのなかで、ブックメーカーから本命に推されているリバプール(グループE)、昨季の準優勝チーム、ローマ(グループG)、ブンデスリーガで快進撃を続けるレバークーゼン(グループH)の3チームが全勝で折り返した。

 チャンピオンズリーグ(CL)と異なるのは、各グループで2位になってもベスト16にストレートインすることができない点だ。その前に、CLからの脱落組(各グループの3位チーム)とプレーオフを行ない、そこで勝利を収める必要がある。ELの各グループ2位チームにとって、CLの各グループ3位チームは格上だ。ベスト16入りするためには、グループ首位通過を狙いたい。

 大会前の優勝チーム予想で、ブックメーカー各社からリバプールに次いで2番人気に推されていたブライトンとて例外ではない。できればプレーオフに進みたくない。だが2戦して1分1敗と、ブライトンはスタートダッシュに失敗。AEKアテネに敗れ、マルセイユに引き分け、2戦を終えグループBの最下位に沈んでいた。第3戦目となるアヤックス戦は、絶対に落とせない一戦だった。

 アヤックスと言えば最近では2018-19シーズンのCLでベスト4まで進んでいる。準決勝対トッテナム・ホットスパー戦で、逆転弾に値するアウェーゴールを許したのが追加タイムの後半50分という、劇的な惜しい敗戦だった。

 一昨季(2021-22シーズン)も決勝トーナメントに進んでいるが、その栄光について語ろうとすれば、1970-71、71-72、72-73のチャンピオンズカップ(チャンピオンズリーグの前身)3連覇まで遡らなければならない。

 CLの時代に入ってからは1994-95シーズンの優勝と1995-96の準優勝になる。アヤックスが演じたその快進撃は、CL史上、最も画期的な出来事といっても過言ではない。若手選手を中心に構成された非金満クラブが、攻撃的サッカーをひっさげ、ミランやバイエルンを倒しながら、欧州の頂点まで上り詰める姿は痛快この上なかった。

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