バルサ復権のカギを握る新鋭ヤマルとフェリックス リーガでは首位だがCLは? (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AP/AFLO

【ジョアン・フェリックスに不退転の気概】

 また、癖になっている右太もものケガで戦線を離れたペドリだが、ケガの功名でデ・ヨングが化け、ギュンドアン獲得もヒットとなり、どうにか凌いでいる。ただ、ペドリのプレーメイクは唯一無二で、攻撃にアクセントを与え、ゴールにも迫れる。かつてのイニエスタに比肩する選手だけに、完治を目指したい。

 小さな懸念は、ポーランド代表FWレバンドフスキか。昨シーズン、前半戦は怒涛のゴールラッシュを見せたが、後半戦はペースダウンしたことだ。今シーズンは3得点しているのだが、前線で抑え込まれる時間が長く、それが35歳という年齢によるものか、単なる小さな周期か。

 代案としては、フェリックスのゼロトップ起用もあり得る。

「バルサでプレーすることが夢」と語っていたフェリックスは実際、年俸を40万ユーロ(約6000万円)にまで下げてやってきた。アトレティコ・マドリードでの年俸は最高1200万ユーロ(約18億円)で、プレミアリーグの各クラブからのオファーはさらに好条件。サウジアラビアのアル・ヒラルの提示額は100倍以上だったという。それだけに不退転の気概が伝わる。"戦闘"を求めたディエゴ・シメオネ監督との関係は「牢獄」と風刺されただけに、解き放たれてファンタジーを見せられるか。

 一方、20歳になるFWアンス・ファティはブライトンに期限付きで移籍した。ビジャレアル戦では中途半端にシュートを打つもブロックされ、完全にフリーだったギュンドアンの叱責を買っていた。プレーリズムが狂っていただけに、新天地での覚醒が望まれる。

 バルサがCLを制するには、攻撃の爆発力がいる。その点でのキーマンはヤマルとフェリックスの新鋭ふたりか。守備のめどはついており、未知の2人がそれぞれメッシの半分でも活躍できたら、復権もあり得るはずだ。

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プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。

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