エムバペ、PSG残留までの内幕 2年連続の「茶番劇」でイメージは悪化した (3ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 サポーターも、毎年「出て行く、出て行く」と騒ぐ彼のことを快く思っていない。これまではメッシやネイマールがいてくれたおかげで、抗議の矛先はそちらに向いていたが、今度はエムバペが矢面に立たされることになる。彼自身が望んだナンバー1、オンリー1の地位だが、勝たなければすべては彼のせいになる。

 今後、チームが少しでも調子を落とせば、エムバペは真っ先に叩かれるだろう。そしてその可能性は決して低くない。エムバペは気に入らない選手を追い出すことに成功したが、その結果、チームは弱くなるという矛盾に陥った。

 いずれにせよ2年連続の茶番劇で、エムバペのイメージはすっかり悪くなってしまった。彼がチームを愛していないことがはっきりしてしまった。「どこのユニホームでもいいからCLで優勝したい」は本音だろう。だが、チームのリーダーである以上、それを見せてはいけなかった。

 2018年ロシアW杯で、19歳という若さで世界チャンピオンになったサッカー界の新星は、その5年後、多くの人々のストレスと苛立ちの元凶となっている。
(つづく)

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