三笘薫がほかの子どもたちと違っていた部分とは 小学生時代のコーチが語る (2ページ目)

  • 鈴木智之●取材・文 text by Suzuki Tomoyuki
  • photo by Kishiku Torao

【カオルの活躍は驚きでも何でもない】

 髙﨑がジュニアを指導する際、キーワードにしていた言葉がある。それが「世界を目指せ」だ。川崎フロンターレの選手たちに、「サッカーの本場は海外だ。世界最高の選手はどこのリーグにいる? そこを目指すべきじゃないのか?」と言い続けてきた。

「選手たちと会話をして、質問をして、考えさせることを徹底しました。世界で活躍できる選手になりたいのであれば、言葉ができないとだめだし、コミュニケーションがとれないとだめだよねって。技術も大事だけど、生き残っていくためにはメンタルも大事ですから」

 そしてジュニアの選手たちに、何年後にプロになるのかを逆算をして、未来像を描かせてきた。

「たとえば12歳の時点で、6年後プロになるために、何が必要か。いま何をすべきか。それに気がつくことが大事で、プロサッカー選手になりたいのなら、勉強も必要です。『サッカーと勉強、どっちが大事?』と訊いて、『サッカー』と言った瞬間に、『それじゃだめだよ。勉強ができない選手はサッカーもうまくならないから。だって、理解力がないってことじゃん』って、そういうやり取りをずっとしてきました」

 さらに、こう続ける。

「心が育つと、プレーがどんどん変わるんです。逆に言うと、心を変えないと、技術がいくらあっても、試合で発揮できない。飛び抜けた能力がある子は、プロのステージには立てるかもしれないけど、それ以上の活躍というかブレイクはできないんですよね」

 髙﨑の教え子は三笘を始め、板倉滉(ボルシアMG)、三好康児(バーミンガム・シティ)、田中碧(デュッセルドルフ)など、海を渡ってプレーしている選手が多くいる。小学生時代から、高い視座で取り組んできた彼らの多くが、"海外組"になったのは、ある種の必然なのではないだろうか。

 髙﨑も「想定内」と笑みを浮かべる。

「カオルが日本代表になってワールドカップに出て、海外で活躍していますけど、私にとっては驚きでもなんでもない。順当にいけば、それぐらいにはなると思っていましたから。みんな『あそこまでの選手になるかどうかはわからなかったでしょ』って言うけど、カオルは別。必ずなる。ならなきゃいけないと思っていた。20歳前後の時点で、海外でやれる才能はありましたから」

 髙﨑はカタールW杯が終わり、三笘に「よく頑張ったね。でも、まだまだ足りないよな」とメッセージを送った。

「カオルからは『自分でもまだまだ足りていないです』というような返事が来ました。目の前に自分よりいい選手がいっぱいいるんだから、当然ですよね。何事にも前向きに取り組むカオルだからこそ、まだまだだな、もっとやらなきゃなと思える環境にいられるのはよかったなと思います」

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