原口元気はなぜ「レギュラーからベンチ外」となったのか? 前所属ウニオンは今季4位でCL出場権も獲得「残っていれば...」 (3ページ目)

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by AFLO

【契約は来シーズンいっぱい】

 出場機会に関して、原口は「あと一歩、自分自身の結果さえ出してしまえば完全に逆転するのかなっていうのはある。最後は自分でいい流れに持っていけるようにしたい。スタメンで出て勝って、状況が変わらないんだったら数字を残すしかない」と話し、何かきっかけを掴むもうと必死で日々、爪を研ぐような状況だった。

 カタールW杯メンバーから落選したことも、移籍のきっかけとなっただろう。

 昨年11月、落選直後の取材では「代表のことは話したくない」と言いながら、自ら触れてしまうということもあった。代表が原口を構成する大きなひとつであると、あらためてわかった。

 森保ジャパンでシステムをいくつか試すなか、原口の落選は予見できたという声もあったが、それは結果論に過ぎない。それまで招集され続けてきた原口にとっては、非常にショックな出来事だった。

 その直後、ウニオンから強く慰留されながらも、原口は残留争いを演じるシュツットガルトに旅立った。都落ちであるとか、消極的な選択であると揶揄する声もなかったわけではないが、やはり自分が主力として戦える場所を探した、というのが妥当な見方だ。それが、シーズン終盤はうまくチームと噛み合わなかった。

 本人としては、変わらずシュツットガルトでの戦いに意欲を燃やしているという。契約は来シーズンいっぱいあり、イチから立て直し、本気でもう一度スタメンを奪いにくるだろう。

 若手が続々と出現するブンデスリーガでの復活は、32歳の原口にとって簡単なことではない。だが、それでももう一度、ピッチで輝く姿が見られると信じたい。

著者プロフィール

  • 了戒美子

    了戒美子 (りょうかい・よしこ)

    1975年生まれ、埼玉県出身。2001年サッカー取材を開始し、サッカーW杯は南アフリカ大会から、夏季五輪は北京大会から現地取材。現在はドイツを拠点に、日本人選手を中心に欧州サッカーを取材中。著書『内田篤人 悲痛と希望の3144日』(講談社)。

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