イタリア勢の欧州頂上決戦 ELで流れを変えられず敗戦したローマ、CLのインテルは「守備的」を貫きやすい (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

【CLも攻撃的サッカー対守備的サッカーの構図】

 それまでいいところがなかったセビージャは、前半43分にイバン・ラキティッチのCKに、ブラジル人のベテランMFフェルナンドが惜しいヘディングシュートを飛ばしたあたりからペースを掴んだ。後半開始と同時にアタッカー2人を入れ替えたホセ・ルイス・メンディリバル監督の采配も奏功した。それ以降、前評判で上回るローマをセビージャが攻め立てる図式が鮮明になった。

ローマを倒してヨーロッパリーグ優勝を果たし、歓喜するセビージャの選手たちローマを倒してヨーロッパリーグ優勝を果たし、歓喜するセビージャの選手たちこの記事に関連する写真を見る 守備的サッカーの矛盾が露わになったのは後半10分、セビージャに同点弾を浴びたあとだった。守備的な姿勢を貫いたローマはその流れを変えられず、最後まで後手を踏んだ。前半こそ、攻撃的なセビージャを術中にはめることができていたが、試合をリードする展開のなかでそれがハマらなくなると、解決策が見いだせなくなった。延長戦のまさに最終盤、ジョゼ・モウリーニョ監督は布陣を3-4-1-2から4-4-2にいじり、攻撃的に出たが、時すでに遅し。決着がついたのはPK戦ながら、セビージャの勝利は順当な結果に思えた。

 低落傾向が続くスペインにとってこのEL優勝は大きい。来シーズン欧州ランクで3位に上がるイタリア勢を叩いたことで、同ランク2位の座は安泰にした。

 欧州のクラブサッカー界はいよいよクライマックスを迎える。7日のECLを経て、10日にはCL決勝が行なわれる。

 マンチェスター・シティ対インテル。攻撃的サッカー対守備的サッカーの構図は、EL決勝と類似する。違いがあるとすれば、弱者と強者の関係だ。前評判で上回るのは攻撃的なマンチェスター・シティ。守備的なインテルは自らのスタイルを貫きやすい状況にある。

 0-0のまま後半に入れば、マンチェスター・シティが試合をいくら優勢に進めようが、インテルペースという話になる。インテルがもしローマのように先制点を奪っても、もともと弱者なので、迷わず守りに徹することができる。ローマのように立ち位置が中途半端になることはない。

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