イタリア勢の欧州頂上決戦 ELで流れを変えられず敗戦したローマ、CLのインテルは「守備的」を貫きやすい (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

【前評判が高かったローマだが...】

 来季の出場枠に影響する過去5年のランクでは、イタリアは来季ドイツを抜き3位になることが決まっている。そのタイミングで鎌田大地はドイツ(フランクフルト)からイタリア(ミラン)に移籍すると言われている。ドイツとイタリアの関係を見れば、それが栄転であることが一目瞭然となる。

 ミランでは2013-14シーズン途中から4シーズン、本田圭佑がプレーしているが、ミランは2014-15シーズンからの3シーズンで1度も欧州カップ戦(CL、EL)に出場することができなかった。1980―81シーズンから5シーズン、出場できなかった過去もあるが、この時は出場枠が各リーグ1チームの時代。欧州ランクという物差しに従えば、この頃がミランにとって1番の低迷期になる。こう言っては何だが、鎌田がミランに移籍すれば、本田の移籍とは話のレベルが違うのだ。

 CL準決勝でそのミランを破り、決勝進出を果たしたインテルでは、長友佑都が2010-11シーズンから8シーズンプレーしている。2009-10シーズンの優勝以降、インテルのCL最高位は長友が移籍してきたシーズンのベスト8だ。12シーズン前の出来事である。今季のインテルは低迷から久方ぶりに脱皮した格好になった。

 ミランを攻撃的サッカーとするならば、インテルは守備的だ。イタリア的なチームと言っても過言ではない。今季のセリエAを制し、CLではベスト8に進出したナポリ(CLベスト8)は攻撃的で、CLのグループリーグで敗退したユベントスは中庸だった。全体的にかつてより攻撃的になってきているが、CL決勝に進出したインテル、EL決勝に進出したローマは守備的だった。

 EL決勝、前評判でわずかに上回っていたのはローマだった。セリエA6位とスペインリーグ11位の対戦なので、当然の予想かもしれないが、試合は強者と目されたそのローマが前半35分、パウロ・ディバラのゴールでリードする展開になった。注目すべきはローマのその後の立ち位置だった。先制点に至るまでのいい流れを維持するのか、早々と守備固めに入るのか。

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