上田綺世が語るベルギーで成功した理由 常に動き出し続ける→監督が「綺世を見ろ」→チームで個性を確立した (2ページ目)

  • 鈴木智貴●取材・文 text by Suzuki Toshiki
  • photo by AFLO

 まぁ、無茶な要求もあります(笑)。一度スプリントで戻ってきたあと、さらにスプリントで出て行って、それを30メートル(のスプリント)3本やれ......みたいな。『いやいや、できないでしょ』って思うんですけど、それでも言われることで自分のやることが明確になります。

 ヨーロッパでは選手が従順というか、監督が『やれ』と言ったら無理でもスプリントをする。まずはそれが評価されて、さらにプラスアルファをどれだけ乗せられるかだと思います。

 日本人の感覚からすると『戦術がない』『色がない』と言われるんですけど、実際はそういうわけじゃない。監督がその部分にどのくらいこだわって、強く言える環境があるかということ。こっちでは監督がルール。監督次第でサッカーがガラッと変わるんです」

── 上田選手もベルギーリーグ第9節の終了後、監督交代を経験しました。

「僕にとっては大きな経験でした。でも(前監督の)コーチをやっていた人が(後任として)監督になったので、サッカーがガラっと変わったわけではないですけど。ただ、攻撃的なところは変わったので、最初はそこに苦労しました」

── 監督交代後、リーグ戦では2試合続けて先発から外れました。その時はどういう心境でしたか?

「僕はあまり落ち込むタイプじゃないですし、監督が代わって出られなくなることもよくあるので、ベンチで見ながら『なんで俺を使わないんだろうな......』とは思っていました。

 もともと前監督の時、いきなりワントップからツートップになって勝てなくて。僕のポジションも変わって、ツートップだったのがワントップになり、シャドーや10番もやって......だから試合に出られないのを言い訳にはできないなと思っていて。

 仮に違うポジションをやるにしても、ずっとそこのポジションをやってきた選手と(ポジション争いで)戦わないといけないわけじゃないですか。僕はずっとワントップ、ツートップをやってきたけど、ポジションを変えられたからといってもそのなかで自分にしかできないオリジナルの表現がある。それが評価されれば試合に出られるし、結果につながればなおいい。

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