上田綺世が語るベルギーで成功した理由 常に動き出し続ける→監督が「綺世を見ろ」→チームで個性を確立した

  • 鈴木智貴●取材・文 text by Suzuki Toshiki
  • photo by AFLO

上田綺世(サークル・ブルージュ)インタビュー後編

◆上田綺世・前編>>「ボールを持つことが絶対にいいとされているわけではない」

 日本とヨーロッパの「サッカー文化」の違いとは──。そのような話題に切り替わると、上田綺世は堰(せき)を切ったように語り始めた。

 続けて、監督と選手の関係性についても、持論は止まらない。今シーズン途中、指揮官が交代した直後にスタメン落ちを経験した時も、いろいろ思うことがあったのだろう。

 そして現在、水を得た魚のようにゴールラッシュを続ける彼が、ベルギーで得たものとは......。

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上田綺世はなぜゴールを量産できているのか上田綺世はなぜゴールを量産できているのかこの記事に関連する写真を見る── 上田選手がインタビュー前編で話された「サッカーの本質」という部分は、日本代表がこの先のワールドカップでさらに上を目指す時、重要なポイントになる気がします。

「こないだ(3月)の代表戦で(堂安)律が『Jリーグっぽい(サッカーをしてしまった)』ということを言っていたじゃないですか? あとは(鎌田)大地くんも(似たようなことを言っていた)。

 別に彼らは監督批判をしたいわけじゃなくて、そういう『文化の違い』を言いたかったんじゃないかと思います。うまい(テクニックがある)ことが、すべてにおいていいわけでもない。

 あとはやっぱり、チームのシステムが(日本とヨーロッパでは)全然違う。本来はいい選手がいれば、戦術がなくてもそれなりのサッカーの形になるじゃないですか。原理原則に従えば、たとえば(守備の時に)ゴール付近では中を切るのが当たり前で『こういうポジションになるよね』というセオリーがあると思うんです。

 こっち(ベルギー)では、そのルールを監督が作れる。監督がこうしろって言ったらこうだし。これは別にネガティブなことではない。それぞれのやるべきことやポジショニングが決まってくるので、選手はそれに合わせればいいんです。だから試合中、無駄に考えなくていいですよね。自分のなかにタスクがあるので、ある意味ではやりやすい。

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