上田綺世が語るベルギーで成功した理由 常に動き出し続ける→監督が「綺世を見ろ」→チームで個性を確立した (4ページ目)

  • 鈴木智貴●取材・文 text by Suzuki Toshiki
  • photo by AFLO

 あきらめず、常に動き出し続ける......。『あきらめずに』というとちょっと大げさですけど、自分のパフォーマンスを表現し続けることを約1年間、続けてきました。

 そうすると、たとえばミーティングで自分の動き出しのシーンが(映像で)出てきて、監督がチームメイトに『なぜ、ここで綺世を使わなかった?』と。そういう形で(自分の動き出しのシーンが)何度も出てくるわけですよ。(上田にパスを出さなかった選手に対して)毎週のように(ミーティングで動き出しの映像が)使われて、監督が『綺世を見ろ』と。

 そうすると、だんだん味方も(自分の動きを)見るようになって、そこから1点、2点と取れて、すると自分の動き出しに対する信頼も得るようになって......。自分のオリジナリティを継続して出し続けることによって、チームで自分の個性を確立できた。その結果だと思います」

── フィニッシュの精度や動き出しという、これまで得意としていた部分がベルギーに来たことでさらに伸びた感覚はありますか?

「伸びたかどうかはわからないですけど、この強度のなかで発揮し続けるのは、やっぱり最初はできなかった。なので、質は上がったのかもしれないです」

── 最後に、今後の目標を教えてください。

「僕はあまり目標を立てて生活するタイプではなくて(笑)。今シーズンは何点取りたいとか、具体的にどこのクラブに移籍したいとかもない。ただ、現状を常によりよくして、ちょっと前の自分よりも成長していきたい。

『後退しない』という意識で常にやっているので、どこまで自分が行けるのか、それを楽しみながら進みたいと思っています。どこまで自分がステップアップしていけるのか──キャリア単位で楽しんでいけたらいいなと」

(了)


【profile】
上田綺世(うえだ・あやせ)
1998年8月28日生まれ、茨城県水戸市出身。中学時代は鹿島アントラーズノルテに所属するも、ユースに昇格できず鹿島学園高へ進学。2019年、法政大サッカー部を退部して鹿島に加入。同年7月、浦和レッズ戦でプロデビューを果たす。2022年7月、ベルギーのサークル・ブルージュへ完全移籍。日本代表はU-20から各年代で呼ばれ、2019年6月のチリ戦でA代表デビュー。2022年カタールW杯メンバーに選ばれる。ポジション=FW。身長182cm、体重76kg。

プロフィール

  • 鈴木智貴

    鈴木智貴 (すずき・としき)

    1981年生まれ、静岡県出身。2010年からドイツ在住。DFB公認B級(UEFA−Bレベル)指導者ライセンス保有。これまでに左右アキレス腱断裂と左膝半月板損傷を経験しており、手術歴"だけ"はプロ選手並み。

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