上田綺世が語るベルギーで成功した理由 常に動き出し続ける→監督が「綺世を見ろ」→チームで個性を確立した (3ページ目)

  • 鈴木智貴●取材・文 text by Suzuki Toshiki
  • photo by AFLO

 その(先発から外れた)2試合も含めて、僕がやったことのない一個下がったポジションでどういうふうにアピールすれば自分の需要を引き出せるか、ということを常に試行錯誤しながらもがいていました。でも、そういう状態は嫌いじゃないので(笑)。楽しかったですね」

── 上田選手が一番前のポジションで起用されないことにファンはモヤモヤしていたと思いますが、本人からすると実際にはそうではなかった?

「はい。まぁ、これがサイドバックとかだったらさすがに......ですけど(笑)。文句が言えるほどワントップで僕が成り立つかって言ったら、そうでもないので。だから自分の新しい選択肢としてはアリかなと思うんです」

── そんな経験を経て、現在得点ランキング3位です(4月19日取材時)。このような結果は開幕前に思い描いていたとおりなのか、それともまだ足りないといった感じでしょうか?

「今となっては、もっとやれたなと。決めるチャンスもありましたし。もっと取れたという思いはありますけど、シーズンが始まる前は不安も山ほどありましたので、シーズン前から考えたらそれなりにはやれたというか。満足はできないですけど、及第点かなと思います」

── 直近12試合のうち8試合でゴールを決め、特にここ7試合では7得点。好調の要因はどこにありますか?

「ありきたりな言葉になりますけど、『積み重ね』かなぁ。ここに来た時は言葉もしゃべれなかったですし、自分を知っている味方もいなくて......。自分がこの環境で何が一番優れているのか、何をどう評価されているのかもわからない状態で、『どうやって試合に出て、みんなに認められるんだろう?』って思っていました。

 自分の武器である動き出しやシュートなど、日本でいろいろ培ってきたなかで、『どれが通用するのか』という葛藤はありました。ただ、味方から(パスが)出てこなくても、動き出しは続けないといけないし。

 それで最初の4〜5試合をやってみると、『自分の動き出しの質は周りより抜けているな』という手応えを感じるようになった。なのでこれを続けていけば、いつかは(味方からパスが)出てくるかもしれないなって思うようになりました。

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