若き名将の解任、メディアに内情暴露、チームメイトを殴打...わずか1カ月で崩壊したバイエルンに何があった? (2ページ目)
【コーチ解任の理由は監督との軋轢?】
『ビルト紙』によれば、現在クラブ内で批判にさらされているのはオリバー・カーンCEOだという。選手やコーチングスタッフに関する人事権はカーンが握っていたため、まずはカーンの責任を問う声が大きく、世間の声は「周囲が考えているより早期の退場もあり得る」とのこと。
さらに同紙が指摘するのは、バイエルンの要職を歴任して現在名誉会長であるウリ・ヘーネスとの関係が悪くバックアップを得られていないことも、カーンの弱点らしい。一方、現役時代のカーンのライバル、イェンス・レーマンは現在のカーンに好意的だという。
「カーンは今の役割をよくやっていると思う。批判されているのか知らないけど、(ナーゲルスマン)監督に関しては不運だった。人生経験のほとんどない若い監督を雇うのはリスキーだし、監督交代したものの基本的には似たようなものだ」(レーマン)
とはいえ、不運で片づけるには多くのことが起きすぎた。
そもそも昨シーズン終盤、ナーゲルスマン監督のガールフレンドがビルト紙の記者だと明らかになったことで、「記者とつながった監督への不信感がロッカールームにはある」と噂された。当該ビルト紙記者はサッカー担当から地域担当に移ったそうだが、それでも不信感がおさまらなかったのは当然かもしれない。
さらに暗雲が立ち込め始めたのは、ワールドカップ終了後。マヌエル・ノイアーがプライベートで興じたスキーで今季絶望の大ケガを負い、さらにその守護神の離脱中にトニ・タパロビッチGKコーチを解任したことだ。
タパロビッチはノイアーが前所属のシャルケ時代から信頼を置くコーチで、プライベートもともにする、いわば親友のような間柄。ただ、ナーゲルスマン監督とは軋轢があったとされている。
決定的だったのは、モナコにレンタル移籍中のアレクサンダー・ニューベルが「タパロビッチとは意思疎通を図れていない」と発言したこと。それが解任のきっかけにもなり、ハサン・サリハミジッチSD(スポーツディレクター)はこの解任に際し「仕事の方向性に相違があった」と理由づけている。
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