日本代表が破ったドイツ&スペインの現在。盤石とは言えない再スタートも、朗報はストライカーの台頭 (2ページ目)
【スペインの新指揮官は「良識派」】
一方、スペインはルイス・エンリケ監督が退任し、新たにルイス・デ・ラ・フエンテ監督を迎えている。
ユーロ2024予選でスコットランドに2-0で敗れたスペイン代表この記事に関連する写真を見る ルイス・エンリケはよくも悪くも、個性の強い指揮官だった。我が強く、いたずらにメディアと対立し、自らのツールでコメントを発信。その姿勢は物議を醸し続けた。采配も独自色が強く、徹底的にポゼッションを志向し、GKには「絶対に蹴るな」と指示。つなぎは得意だが脆弱なCBエリック・ガルシアを重用し、本来MFのロドリをCBで起用。高さ強さのあるセンターフォワードを軽視し、イアゴ・アスパスのような即興性を持ち味とする選手も冷遇した。
デ・ラ・フエンテ監督は、うって変わって質実剛健な人物で、選考も公平性を重んじる。ケパ・アリサバラガ、ナチョ、ミケル・メリーノ、イアゴ・アスパス、ホセルなど、ルイス・エンリケ時代に不遇を囲った選手たちを代表に選んだのは、まさに良識派の決断だ。
新指揮官のもうひとつのアドバンテージは、スペインU-19、スペインU-21、そしてスペイン五輪代表と、10年近くユース年代代表を率いてきた点にある。セルヒオ・ラモス、セルヒオ・ブスケツの引退後、世代交代が急務だ。代表の主力に、東京五輪をともに戦ったペドリやダニ・オルモなど多くの選手がいるのは大きい。
そしてドイツと同じくスペインも、3月の代表戦ではゴールゲッターの嬉しい台頭があった。
3-0で勝利したユーロ2024予選初戦のノルウェー戦。この試合で、エスパニョールでゴールを重ねるホセルが、32歳の代表デビューを飾っている。80分からの交代出場ながら、いきなりの2ゴール。クロスを呼び込み、192センチの長身を生かしたヘディングを決めたあとは、味方のシュートのこぼれ球にすかさず反応して押し込んでいる。最近のスペイン代表は、ボールを回すことだけに汲々とし、ゴールへの迫力が欠けていただけに、単純な高さやしたたかさのあるホセルが救世主となるかもしれない。
2 / 3