セリエでまたもスキャンダル。13位まで順位を落としたユベントスに何が起きているのか (2ページ目)

  • 利根川晶子●文 text by Tonegawa Akiko
  • photo by Nicolo Campo/LightRocket via Getty Images

【会長以下クラブ幹部が辞任】

 2022年3月。捜査の過程でキャピタルゲイン以外にもユベントスが不正を行なっていた可能性が浮上する。コロナ禍で試合が行なわれていなかった間、クラブの収入はほとんどなく、財政的に厳しい状況に追いやられており、年俸の高い選手を保有するビッグクラブほど打撃は大きかった。その対策として、ユベントスは選手と合意のうえ、給料の支払いを延期したり、クラブの負債として残したりした。

 最近になってパウロ・ディバラ(現ローマ)はその時のことを複数のイタリアメディアに明かしている。

「はじめ、チームから4カ月分の給料をあきらめてくれと言われ、みんなびっくりした。誰もそんな多くの額をあきらめたくない。だから皆で話し合い、断ったんだ。そうしたら今度は、3カ月分は翌シーズンに支払い、1カ月分は当面貸し付けとして残してくれるということになった」

 ところが、このことは帳簿に反映されていなかった。あたかも選手たちが減給に同意したかのようになっていた。検察はそれらの対象になる選手も召喚。ディバラをはじめ、アレックス・サンドロ、フェデリコ・ベルナルデスキ(トロント)、ジョルジョ・キエッリーニ(ロサンゼルス)、フアン・クアドラード、レオナルド・ボヌッチなどから証言を求めた。また当時ユベントスの選手だったクリスティアーノ・ロナウドに1960万ユーロ(約30億円)を後払いするという書類も後に発覚。これもユベントスは帳簿にのせていなかった

 2022年4月には裁判が始まり、ユベントスの他にサンプドリア、ナポリ、ジェノアなど11チームが告発されたが、一審では全チームが無罪となった。先にも述べたように選手の本当の価値を特定する客観的な方法が存在しないため、操作を立証することができなかったのだ。

 ただ、ユベントスに対してはここですべては終わらなかった。トリノの検察は一審後も捜査を進め、再び幹部らを起訴。これを受け、11月末、アニエッリ会長とネドベド副会長が辞任した。問題はイタリア国内だけではない。UEFAもまたファイナンシャル・フェアプレーやライセンスにおける違反があったと捜査に乗り出した。

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