検索

三竿健斗、相馬勇紀は早くも活躍。カズも渡るポルトガルと日本人選手との相性は?

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 ポルトガルリーグで、日本人サッカー選手がにわかに声望を高めつつある。値打ちは上昇で、これからも"参入"は続きそうだ。

 カタールW杯日本代表メンバーの守田英正は、名門スポルティング・リスボンの主力としてプレー。中盤でバランスをとれるだけでなく、ゴール前に入る技量の高さも示している。ブラガ戦の2得点は圧巻だった。
 
ブラガ戦では2ゴールを決めた守田英正(スポルティング・リスボン)ブラガ戦では2ゴールを決めた守田英正(スポルティング・リスボン)この記事に関連する写真を見る ロシアW杯日本代表の中村航輔はポルティモネンセでゴールマウスを守る。1,2年目は苦しんだが、3年目の今季は成果を上げつつある。カーザ・ピアの邦本宜裕はJリーグ、Kリーグをいずれも不祥事で追われたが、ポルトガルでは主力として活躍。藤本寛也は東京ヴェルディからジウ・ヴィセンテに移籍し、今や中盤で居場所をつかんでいる。田川亨介はサンタ・クララで、交代出場が多いものの16試合に出場。渡井理己は徳島ヴォルティスから新天地に選んだボアヴィスタで格闘中だ。

 さまざまなバックグラウンドがあっての移籍で、全員が満足できる結果を残しているわけではないが、多くの日本人選手が挑戦の地にポルトガルを選んでいる。まさに多士済々。そして今シーズンの冬のマーケットでは、三竿健斗(サンタ・クララ)、相馬勇紀(カーザ・ピア)という代表レベルのふたりも加わった。

<ポルトガルのクラブが日本人選手を求め、日本人選手がポルトガルのクラブを目指す>

 そんな構図ができあがってきたわけだ。

 かつて、ポルトガルリーグは日本人選手にとって鬼門だった。

 筆者はかつて廣山望(ブラガ)、相馬崇人(マリティモ)の挑戦を追いかけ、ルポを書いたことがある。ふたりとも入団当初の評価はとても高かった。パス、ドリブルなどの技術に優れ、献身性も高い。特徴を出すことで、適応できるはずだった。だが......。

「球際で弱すぎるのと、適性のポジションがない」

 おおざっぱに言えば、ともにそんな評価で出場機会を減らしていった。

 ポルトガルサッカーは一見、華やかな印象を受ける。とりわけ、当時はそのイメージが強かった。マヌエル・ルイ・コスタ、ルイス・フィーゴ、パウロ・ソウザ、ジョアン・ピントなど、華麗にボールを回す技巧派の代表選手が黄金期を彩った後の時代で、世界的にもドリブラーやパサーが活躍していた。

1 / 3

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

フォトギャラリーを見る

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る