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セリエでまたもスキャンダル。13位まで順位を落としたユベントスに何が起きているのか

  • 利根川晶子●文 text by Tonegawa Akiko
  • photo by Nicolo Campo/LightRocket via Getty Images

 イタリアを代表するクラブチーム、ユベントス。優勝回数は36回。2位のミランとインテルは19回だから、その強さは圧倒的だ。2011年から続いた9連覇の頃に比べると、最近は少し勢いがないものの、それでも今季は首位ナポリと10ポイント差の3位につけていた。

 しかし1月20日、ユベントスは勝ち点を15ポイントはく奪され、一気に10位へと転落した。ユベントスの減点といえば、2006年の「カルチョポリ」を思い出す。あの時は賄賂などによる八百長事件だったが、今回は財務上の問題が理由だった。

 いったい何がユベントスに起こっているのか。

直近のコッパ・イタリア準々決勝ではラツィオを破りベスト4に進出したユベントス直近のコッパ・イタリア準々決勝ではラツィオを破りベスト4に進出したユベントスこの記事に関連する写真を見る ことの起こりは2021年10月の終わり頃だった。イタリア国家証券委員会(CONSOB)は、上場企業の会計を調査するなかで、いくつかのサッカークラブがキャピタルゲインを利用して決算を操作しているのではないかという疑いを持ち始めた。

 キャピタルゲインとは、一般的には資産価値が上昇することで得られる利益のことを言う。クラブチームの場合は選手の売買における利益だ。例えば選手を2000万ユーロで獲得し、1年後に5000万ユーロで売却したら、この場合のキャピタルゲインは3000万になる。ただ、選手の値段は商品と違い、決まった価格というものが存在しない。いわばすべて言い値の世界である。だから高く見積もったり安く見積もったりすれば、簡単に帳簿を操作できるのだ。

 疑いのある事例は全部で62。そのうちの実に42件はユベントスが関わったもので、クリスティアーノ・ロナウドのマンチェスターユナイテッドへの移籍も捜査対象となった。

 2021年11月、イタリアサッカー協会からの依頼を受け、検察庁が本格的に捜査を開始。アンドレア・アニエッリ会長、パベル・ネドベド副会長、5月までユベントスのスポーツディレクターを務めていたファビオ・パラティチ(現在はトッテナムのスポーツディレクター)など幹部6人が捜査対象となった。ある幹部などは9時間にも及ぶ尋問を受け、携帯の通話記録やPCなども押収された。

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